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トルコのプロアマ・男女別サッカー選手のサプリメント使用状況 AISのABCD分類との関連

トルコのサッカー選手のサプリメントの利用状況の調査結果が報告された。選手の9割がサプリを使用しており、競技レベルや性別により摂取状況に有意な差異が認められたという。

トルコのプロアマ・男女別サッカー選手のサプリメント使用状況 AISのABCD分類との関連

身体への生理学的要求が年々高まっているサッカー選手で調査

サッカーはもともと身体への生理学的要求の強いスポーツだが、戦術的な進化とともにその要求がより強くなってきている。また、競技レベルが高いほど、生理学的要求に応え得るアスリートのパフォーマンスの差が、試合の結果に与える影響が大きい可能性が報告されている。そのようなハイパフォーマンスを得るために、サッカー選手の多くがサプリメントを摂取していることが知られている。今回紹介する論文の研究では、サッカー選手のサプリ利用状況と、利用しているサプリの傾向を、オーストラリア国立スポーツ研究所(Australian Institute of Sport;AIS)によるスポーツサプリのABCD分類を適用して、競技レベルや性別と関連づけて検討した結果の報告。

調査対象者の特徴

調査対象は、サッカークラブに所属している18歳以上のトルコ国民の選手であり、怪我や疾患を有していないこと。計117人がサプリ利用に関するアンケートに回答した。その内訳は、性別については男性67.5%、女性が32.5%、競技レベルについてはプロが47.0%、アマチュアが53.0%だった。また、プロについては、スーパーリーグが10.3%、1stリーグ25.6%、2ndリーグ1.7%、3rdリーグ9.4%だった。

性別で比較すると、男性は女性より有意に平均年齢が低く(22.1±4.8 vs 24.3±4.8、p=0.021)、週あたりのトレーニングセッション数は男性のほうが有意に多かった(5.6±1.4 vs 4.9±1.1、p=0.004)。プロとアマの比較では、平均年齢は有意差がなく(23.7±5.0 vs 22.0±4.7、p=0.065)、トレーニングセッション数はプロのほうが有意に多かった(6.0±1.0 vs 5.0±1.0、p=0.002)。

全体で87%がサプリを利用し、プロ選手、男性で有意に多い

サプリの利用率は87.2%だった。男性の利用率は女性より有意に高く(93.7 vs 73.7%、p=0.006)、プロはアマよりも有意に高かった(98.2 vs 77.4%、p<0.001)。サプリ利用の目的や動機は、性別や競技レベルによる差はなく、スポーツパフォーマンスの向上(44.7%)、健康管理(20.6%)、容姿の改善(15.9%)などが多かった。

入手経路については、男性は女性よりもインターネット経由が多く(16.9 vs 4.3%)、女性は薬局で購入する割合が高かった(27.7 vs 13.7%)。また、競技レベル別では、プロはネット経由が多いものの(18.6 vs 8.2%)、所属クラブから提供されるとの回答がより多くを占めていた(32.6 vs 20.0%)。アマは薬局での購入が多かった(28.2 vs 7.0%)。

プロは栄養士のアドバイスを受けて選択している

サプリ利用に関するアドバイザーとして最も多く挙げられたのは、栄養士の29.7%だった。続いてフィジカルトレーナーが26.5%であり、3番目は自主判断だった。

この結果について性別による差はなかったが、競技レベルでは、プロは栄養士が多く(43.8 vs 14.7%)、アマは自主判断が多いという差が認められた(26.7 vs 3.8%)。

プロや男性は、グループAのサプリをより多く利用している

次に、オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)のABCD分類に当てはめて解析。なお、ABCD分類のグループAはスポーツサプリとして有効性を示すエビデンスのあるもので、Bは一定の条件下では有効の可能性のあるもの、Cはエビデンスが不足しているもの、Dは禁止物質のこと。

男性はグループAとCの摂取量が女性より有意に多い

1日の摂取量を性別に比較すると、男性はグループAとCに該当するものの摂取量が女性よりも有意に多かった。詳細は以下のとおり。

グループA

グループAのうち、スポーツ食品(スポーツドリンク・ジェル、電解質サプリ、プロテインサプリ、混合多量栄養素サプリなど)の1日あたりの摂取品数は男性が3.0±2.0、女性が1.0±2.0(p<0.001)、医療用サプリ(鉄、カルシウム、亜鉛、ビタミンD、マルチビタミン、プロバイオティクスなど)は同順に1.0±2.0、0.0±1.0(p=0.012)であり、またパフォーマンスサプリ(カフェイン、β-アラニン、硝酸塩/ビート根ジュース、クレアチンなど)も男性のほうが多く利用していた。グループAの合計では、4.0±5.0、1.5±3.0(p<0.001)で、男性のほうが有意に多く利用していた。

グループC

グループCの分枝鎖アミノ酸(BCAA)/ロイシン、ビタミンE、アルファリポ酸、プレバイオティクスなどについては、男性の1日あたりの摂取品数が2.0±4.0、女性は1.0±1.0(p<0.001)だった。

グループB

グループBのポリフェノール、ビタミンC、N-アセチルシステイン、メントール、コラーゲン、クルクミン、ケトン、魚油、カルニチンなどの摂取量は、男性と女性で有意差がなかった。

プロはグループAの摂取量がアマチュアより有意に多い

次に競技レベルで1日の摂取量を比較すると、プロはアマよりもグループAに該当するものの摂取量がアマチュアよりも有意に多かった。詳細は以下のとおり。

スポーツ食品については、プロの1日あたりの摂取品数が3.0±2.0、アマは1.0±2.0(p<0.001)、パフォーマンスサプリメントは同順に1.0±2.0、0.0±1.0(p<0.001)であり、医療用サプリの摂取量は有意差がなかった。グループAの合計では、4.0±5.0、2.5±5.0(p<0.001)で、プロのほうが多く利用していた。

グループBとCの利用状況については、プロのほうが多く利用しているものの、群間差は非有意だった。

文献情報

原題のタイトルは、「Dietary Supplement Use of Turkish Footballers: Differences by Sex and Competition Level」。〔Nutrients. 2022 Sep 18;14(18):3863〕
原文はこちら(MDPI)

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