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「低カロリー」が強調されている食事は過食しやすいので注意! ただし、フレイル対策には有効かもしれない

低カロリーのメニューでも、量を多く摂れば高カロリーになる。当たり前のことなのだが、頭で理解することと実際の行動がイコールで結ばれないこともまた、誰もが知っている事実である。料理のメニューの横に「低カロリー」と表示しておくと、人々は食べ過ぎてしまいやすいことを示すデータが報告された。論文の著者らは、減量中の人に購入されることを想定している製品に、安易に「低カロリー」などの言葉を添えることには注意が必要だと述べている。

「低カロリー」が強調されている食事は過食しやすいが、フレイル対策に有効かもしれない

低カロリーのメニューなら、少し多く食べても大丈夫?

「カロリー控えめ」「低カロリー」などの言葉が添えられた食品が、どうしても気になってしまうという人も少なくないのではないだろうか? レストランで食べたいメニューを選んでいる時なら、「低カロリー」から選べば、もう一品頼んで一度に二種類の味を楽しめると考える人もいるかもしれない。しかし、そのようにしたらもちろん、低カロリーであることの意味は台無しだ。今回紹介する論文の研究は、このような、目的と結果があべこべになってしまうようなことが、実際に起きてしまう可能性を示唆している。

この研究は、同じように調理されたメニューを、1回はカロリーが低いことを意味する「light」というラベルを添え、別の回にはカロリーが高いことを意味する「filling」というラベルを添えて、研究参加者に自由に食べてもらい、摂取量を比較するという、無作為化クロスオーバーデザインで実施された。

同一対象に、等カロリーのメニューを自由に摂取してもらい、摂取量を比較

研究参加者は、ポスターや広告などを通じて募集された、65歳以下の一般成人。年齢上限を65歳として高齢者を除いた理由は、高齢者は一般的に食欲が低いことが多いため。適格基準は、極端な体重変動のないこと、摂食行動に影響を及ぼし得る精神・身体疾患がないこと、食品アレルギーのないことなどとして、菜食主義者や妊娠または授乳中の女性は除外した。

応募者の中から18~65歳の成人37名が採用された。なお、研究前段階で有意差の検出に必要なサンプル数は27名と計算されていた。解析対象の37名は、年齢が39.7±13.5歳、男性19名、女性18名、BMI25.0±4.5。

研究実施日には、いつものように朝食を摂ったあとはエネルギーのあるものの飲食を禁止し、11時~14時30分にかけて、以下に記す料理を満足するまで食べてもらった。なお、研究参加者に対しては、提供する料理は研究室で特別に用意されたメニューであり、レシピは明らかにできないと伝えた。また、前述のように、1回は「light」、別の1回は「filling」というラベルを添え、両条件の試行には2週間以上のウォッシュアウト期間を設けた。

提供した料理は、パスタ500g(生200g)やサラダなどで、1セット991.2kcal、炭水化物154g、タンパク質31.2g、脂質25.6g。なお、おかわりは自由にしてよいこととした。また、各条件の食事の前と後に、ビジュアルアナログスケール(VAS)により空腹感と満腹感を把握した。

「light」のラベルを添えておく条件で摂取量が有意に増加

残食量から摂取量を計測すると、lightラベル条件はfillingラベル条件に比べ、摂取重量、摂取エネルギー量がともに多いことが示された。詳しくは、摂取重量がlight条件は344.6±144.4g、filling条件は313.5±126.6g、摂取エネルギー量は同順に469.3±196.6kcal、427.0±172.4kcalだった(p<0.01、効果量〈dz〉=0.51)。

500gパスタを含む1セットを完食した参加者(プレートクリアラー)は、light条件では11名、filling条件では7名だった。このうち1名はおかわりをした。解析結果への影響が大きいと考えられる、これらのプレートクリアラーを除外した解析の結果も前記と同様に有意差がみられ、light条件のほうが摂取量が多かった(p<0.01、dz=0.40)。

なお、light条件とfilling条件の試行順序は結果(摂取重量とエネルギー量の双方)に影響を与えていなかった(交互作用p=0.37)。性別の比較では女性よりも男性のほうが摂取量が有意に多かったが、BMIと摂取量との間に有意な関連はみられなかった。

light条件ではfilling条件よりも食べているのに満腹感が低い

VASによる空腹感と満腹感の評価結果から、light条件では、実際にはfilling条件よりも食べているのにもかかわらず、食後の満腹感が低いこともわかった。具体的には以下のとおり。

まず空腹感については、light条件の食前が75±15、食後は22±17、filling条件の食前73±15、食後20±15であり、いずれも有意差はなかった。一方、満腹感については、light条件の食前が24±19、食後は69±15、filling条件の食前25±19、食後79±13であり、食後の値に10ポイントの差があった(p<0.01)。

「低カロリー」ラベルはフレイル対策には有効の可能性

著者らは、「本研究は食事に関する情報が摂取量や満腹感に及ぼす影響を調査した初の研究」と述べている。結果のまとめとして、「食事の満足度に影響を及ぼす可能性のある情報を提示することによって、摂取量が実際に変化することが明らかになった」としたうえで、この効果や影響を役立てる方法と注意点を2点挙げている。

まず一つ目は、栄養状態が悪化している患者やフレイル状態の高齢者など、積極的な食事摂取が必要な対象に、「低カロリー」という意味合いの情報を添えて食事を提供することで、摂取を促すことができる可能性があるという。一方、二つ目のポイントは注意点であり、摂取エネルギーを減らす必要のある対象に、「低カロリー」という意味合いの情報を添えて食事を提供すると、かえって摂取量が増えてしまう可能性があるとしている。

文献情報

原題のタイトルは、「Does labelling a food as ‘light’ vs. ‘filling’ influence intake and sensory-specific satiation?」。〔Appetite. 2022 Apr 1;171:105916〕
原文はこちら(Elsevier)

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