パスタのGI値はどのくらい? 約100製品を10のカテゴリーに分類して検討したデータ
約100種類のパスタ製品のグリセミック・インデックス(GI)値に関するデータが報告された。全体を10のカテゴリーに分類して検討した結果、グルテンフリー製品はややGIが高いものの、総じて低~中程度のGI値であることがわかったとのこことだ。パスタ発祥の国とされるイタリアの研究者の報告だ。
デュラム小麦パスタは低GIだが、その他のパスタのGIは?
イタリアの伝統食であるパスタは現在、世界中で主食として摂取され、主要な炭水化物源となっている。伝統的なデュラム小麦を用いたパスタは、低GI食品とされている。その一方、近年は精製された小麦を用いたパスタや、豆や野菜、海藻などを添加したパスタも市場に多く流通している。それらの加工によって、食品全体のビタミンやミネラル含有量が高くなるというメリットが生まれることもあるが、GI値への影響も生じると考えられる。そこで本論文の著者らは、パスタ製品のGI値を報告したこれまでの文献を収集し、検討を行った。
文献検索の方法
文献検索は2020年12月に実施された。検索に用いたデータベースは、Pubmed、Scopus、Web of Science、Science Directで、検索キーワードとして「glycemic index(glyaemic index)」および「パスタ」を設定。
除外基準は、パスタ以外の食品もあわせた混合食または調味料を追加したうえで検討したもの、対象が10人未満または疾患罹患者で検討したもの、標準的な食習慣でない対象者で検討したもの、比較基準としてグルコース溶液または白パン以外を設定しているもの、パスタ摂取後2時間の血糖値の推移を評価せずにGI値を算出しているもの、in vitroからの推算値を検討したもの。
28報から95製品の報告を抽出
最終的に、28報の研究が抽出され、それらには95種類のパスタ製品のGI値が報告されていた。
74件(全体の78%)の研究はサンプル数が10人であり、76件(80%)は基準食としてグルコース溶液を用いていた。血糖値の測定に静脈血を用いた研究は4%にとどまり、全体の75%は毛細血管からの採血であるとされ、簡易血糖測定によるものだった。その他の21%の研究は採血方法が記されていなかった。
パスタに含まれる炭水化物量は、73件の研究では50.0gであり、16件は22.0~49.0gの範囲で、他の6件は炭水化物量に関する記載がなかった。
42件(44%)は、イタリアからの報告だった。
95製品を10のカテゴリーに分類。その平均GI値は?
本論文の著者は、それら95製品を以下の10のカテゴリーに分類してその平均GI値を割り出している。
カテゴリー | パスタの種類 | 平均GI | 報告数 |
---|---|---|---|
1 | 精製小麦100%のパスタ | 55 | 35 |
2 | 全粒小麦100%のパスタ | 52 | 6 |
3 | その他のシリアルベースのパスタ製品 | 52 | 8 |
4 | 卵を含むパスタ | 52 | 5 |
5 | グルテンフリーのパスタ | 60 | 11 |
6 | マメ科植物を含むパスタ | 46 | 9 |
7 | ヌードルおよびヴェルミチェッリ | 56 | 9 |
8 | 野菜または海藻類を含むパスタ | 51 | 6 |
9 | その他の成分を含むパスタ | 37 | 5 |
10 | 詰め物パスタ(スタッフドパスタ) | 58 | 1 |
同一カテゴリーでもGI値の範囲の広がりが大きい製品群もある
論文では上記の数値のほかに、全製品のGI値が製品カテゴリー別に図示されている。その図を見ると、図示のみであるため正確なGI値は不明だが、同一カテゴリーに位置付けられていても、製品によりGI値が高いものと低いものがあり、広い範囲に分布しているカテゴリーもあることがわかる。
例えば、カテゴリー1の精製小麦100%パスタ製品は、GI値が最も低いものは32~33だが、高いものは84~85ほどもある。カテゴリー7のヌードルおよびヴェルミチェッリも、低いものは20前後だが、高いものでは90前後のものもある。その一方、カテゴリー4の卵を含むパスタ製品は、低いものは47~48ほど、高いものも57~58で、狭い範囲に収まっている。
パスタのGI値に影響を与える因子の研究が求められる
著者らは論文の末尾を「結論と将来の展望」として、「全体的にパスタは中~低GI食品であることが確認された。本研究で示したデータは、パスタの生産者が栄養価の高い濃厚パスタ製品を生産するための有用なツールとなるだろう。栄養価が高くGIが低いパスタは、特定の消費者、例えばセリアック病や2型糖尿病患者に受け入れられるだろう」とまとめている。
また、同じカテゴリー内で認められたパスタ製品ごとのGI値の変動について、「この変動は、我々の食事の炭水化物以外の要素がGI値に影響を与えることを示している。パスタは最もよく摂取されている炭水化物食品であることから、GI値に影響を与える他の成分との関係をより明確に把握するための、さらなる研究が必要とされる」と述べている。
文献情報
原題のタイトルは、「Glycemic Index Values of Pasta Products: An Overview」。〔Foods. 2021 Oct 22;10(11):2541〕
原文はこちら(MDPI)