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男子サッカー試合期の栄養戦略とパフォーマンス ポルトガルサッカー連盟の統一見解

サッカーの試合期における栄養摂取タイミングとパフォーマンスに関するポルトガルサッカー連盟のコンセンサスステートメントが、英国スポーツ運動医学会の「BMJ open sport & exercise medicine」に掲載された。試合前の2日間、試合日、試合後の2日間に分けて、主要栄養素の摂り方、水分補給、サプリメントの利用などについて詳細にまとめられている。それらのうち、ほんの要旨のみを紹介する。

男子サッカー試合期の栄養戦略とパフォーマンス ポルトガルサッカー連盟の統一見解

サッカー選手の栄養戦略のコンセンサスを確立

サッカー選手の健康とパフォーマンスの維持・向上に栄養面からの介入が欠かせない。それにもかかわらず、エリートサッカー選手が採用している栄養戦略は、文化や習慣および実際的な制約によって大きく異なり、科学的エビデンスにより支持されたものではないことがある。そこでポルトガルサッカー連盟は、同国の栄養士のネットワークを確立して、サッカー選手の健康を促進し、パフォーマンスを向上するための栄養関連戦略のコンセンサス確立に向けた活動を続けていた。

2020年2月14日に会議が開催され、同国のエリート男性サッカークラブ(リーガ・NOS)で働く18人の栄養士のうち17人と、スポーツ栄養士、スポーツ科学者、スポーツドクター11人の専門家が集合。コンセンサス策定のための作業が開始された。

会議を経て、コンセンサスは成人、男性、エリート選手の栄養上の考慮事項に焦点を当てることが同意された。女性サッカー選手の栄養面に関するコンセンサスは確立されておらず、今後の検討課題とされた。

ディスカッションは、サッカー選手の日常生活のタイムラインに従って構成された。具体的には、試合の準備日、試合日、試合後の回復期間という三つのステージに分けられている。以下はその抜粋。

試合2日前から試合日までの準備期間

試合の2~1日前

  • 個人の目標、および個人の許容度にそって十分な炭水化物を摂取する。推奨は6~8g/kg/日
  • 日々のタンパク質摂取量(~1.6g/kg/日)を維持し、1日を通して均等に配分する
  • ビタミンとEPA/DHAが豊富な不飽和脂肪酸を優先しながら脂質摂取量を維持する(個々の目標に応じて、1日の総摂取エネルギー量の20~35%)
  • 抗酸化物質が豊富な果物や野菜を優先しながら、ビタミンとミネラルの推奨量を満たす
  • トレーニング後に適切に水分を補給し、1日を通して十分に水分補給する
  • 食物繊維の摂取量(25g/日)を維持する

試合日の試合前の最後のメインディッシュまで

  • 胃のコンディションのため、試合前の食事では脂肪と食物繊維の摂取量を減らすことを考慮する
  • 試合まで十分な水分摂取量を確保する

試合当日(スタジアム到着から試合終了まで)

キックオフ前

  • 個人の許容度にそって十分な炭水化物を摂取する。推奨は試合前1~2時間で30~60g
  • 試合直前のタンパク質、ビタミン、ミネラルの摂取のメリットを示すエビデンスはない
  • 適切に水分を補給した状態で試合を開始する
  • カフェイン、硝酸塩、βアラニンなどのエビデンスのあるサプリメントを利用する場合、キックオフの約60分前に摂取すべきと考えられる

ハーフタイムおよび延長戦

  • 低血糖予防、筋グリコーゲン消耗を遅らせるために、何らかの炭水化物を摂取する
  • 試合中および延長戦の最中のタンパク質、ビタミン、ミネラルの摂取のメリットを示すエビデンスはない
  • 後半戦での脱水症状を予防する
  • キックオフ前にカフェインを摂取していた場合、追加摂取は必要ない
  • 延長戦が想定される試合では、ハーフタイムでカフェインの摂取を検討する

延長線の直前

  • 延長戦での脱水症状を予防する

回復のための栄養戦略(試合終了から翌々日まで)

試合後2〜4時間

  • 炭水化物を十分かつ速やかに摂取する。推奨は試合終了後の2〜4時間に1g/kg/時
  • 筋肉のリカバリーのため、20~40gの消化しやすいロイシン高配合タンパク質を摂取する
  • 栄養素の消化吸収を遅延させる可能性があるため、試合後は脂質の摂取量を減らす必要がある
  • 抗酸化作用のあるビタミン(A、C、E)は、運動直後の回復に関連している可能性がある
  • 体重1kg減ごとに1.5Lの水分を補給する(ナトリウム0.46~1.15g/Lの飲料)
  • カフェイン(3~4mg/kg)およびクレアチン(5g)は、筋肉のグリコーゲン合成を促進する可能性がある
  • タルトチェリーのサプリメントは、激しい運動後の睡眠の質の改善に役立つことがある

試合後24~48時間(試合の翌日と翌々日)

  • 十分な炭水化物(6~8g/kg/日)を摂取して、筋肉のグリコーゲン貯蔵を維持しつつ、体重増加を防ぐ
  • 1.6g/kg/日のタンパク質摂取を維持する
  • 欧州食品安全機関(European food safety authority;EFSA)の食事摂取基準(dietary reference values;DRV)を参照し、脂質、食物繊維、ビタミン、ミネラルの摂取を維持する

過密の試合日程(試合間隔が48~72時間)の場合

  • より高い炭水化物摂取量(6~10g/kg/日)を確保する
  • 1.6~2.0g/kg/日のタンパク質摂取を維持する
  • EFSAのDRVを参照し、脂質、食物繊維、ビタミン、ミネラルの摂取を維持する

文献情報

原題のタイトルは、「Portuguese Football Federation consensus statement 2020: nutrition and performance in football」。〔BMJ Open Sport Exerc Med. 2021 Aug 26;7(3):e001082〕
原文はこちら(BMJ Publishing)

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