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女性のプレフレイル予防に必要なのは、たんぱく質だけでなくマグネシウムも? 垂水研究

地域在住日本人高齢者を対象とする横断研究から、マグネシウムの摂取量が少ないことが、女性のプレフレイル/フレイルと有意に関連しているというデータが報告された。その一方、大多数の女性はたんぱく質目標量を摂取できており、たんぱく質摂取量は有意な関連が認められておらず、過剰なたんぱく質摂取は不要であるかもしれない。大阪府立大学地域保健学域総合リハビリテーション学類栄養療法学専攻の叶内宏明氏らの研究結果であり、日本ビタミン学会と日本栄養・食糧学会が発行する「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」に論文が掲載された。

女性のプレフレイル予防に必要なのは、たんぱく質だけでなくマグネシウムも? 垂水研究

鹿児島県垂水市で行われている疫学調査のデータを横断的に解析

要介護予備群とも言われるフレイルは、加齢が大きなリスク因子ではあるが環境因子の影響も大きく、とくに身体的フレイルに関しては、身体活動と適切な食事摂取による治療と予防が可能。これまでのところ、フレイル予防にはたんぱく質の摂取量が重要であるとする報告が多い。ただし、日本人高齢者を対象とする研究報告は限られており、また結論の一致をみていないことから、より多くの研究が必要とされている。叶内氏らは鹿児島県垂水市で行われている「垂水研究」のデータを用いて、栄養素摂取量とフレイルリスクとの関連を検討した。

垂水研究は、鹿児島大学と垂水市が中心となり2017年にスタートした地域住民対象の疫学調査。垂水中央病院や鹿児島県栄養士協会も関与している。垂水研究の2018コホートには、40歳以上の住民1,385人が登録され、2018年7~12月に行われた調査には1,145人が参加。そのうち65歳以上の高齢者860人のデータを、今回の研究の解析に用いた。なお、同市の65歳以上の人口は3,810人。

認知症と診断されている人、摂取エネルギー量が過大または過小な人(平均値±3標準偏差から逸脱)、およびデータ欠落者を除外し、最終的に815人(74.9歳、女性63.2%)を解析対象とした。

Friedの定義でプレフレイルを判定し、BDHQから栄養素摂取量を算出

フレイルの判定には、国内外で広く用いられているFriedらの評価基準に基づき、意図しない体重減少(過去6カ月で2~3㎏以上)、主観的疲労感、日常生活活動量の減少、歩行速度低下(1m/秒未満)、握力の低下(男性26㎏未満、女性18㎏未満)を用いた。これらのうち1項目以上該当している場合を「プレフレイル」と定義。フレイルとプレフレイルは区別せず、両者をあわせて解析を行った。

食習慣は、簡易型自記式食事歴法質問票(brief-type self-administered diet history questionnaire;BDHQ)で評価。エネルギー調整を行い過大・過小申告の影響を抑制したうえで、各栄養素の摂取量を把握した。

その他、解析結果に影響を及ぼし得る共変量として、年齢、および既往症(心血管疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症、悪性新生物、膠原病、甲状腺疾患、呼吸器疾患)と処方薬を把握した。

男性・女性ともに半数以上がプレフレイル/フレイルに該当

プレフレイル/フレイルの有病率は、男性52%、女性54%だった。プレフレイル/フレイル群(以下「プレフレイル群」とする)と非プレフレイル群を性別に比較すると、女性ではプレフレイル群の体重が有意に低かった。ただしBMIでは有意差がなく、また男性は体重、BMIともに有意差がなかった。

骨格筋量指数(skeletal muscle mass index;SMI)は女性でのみプレフレイル群のほうが低いという有意な群間差がみられ(非プレフレイル群5.98±0.62 vs プレフレイル群5.69±0.69kg/m2,p<0.001)、男性の群間差は有意でなかった(7.32±0.64 vs 7.19±0.77kg/m2,p=0.240)。疾患については、女性では骨粗鬆症の有病率がプレフレイル群で有意に高く(24 vs 32%,p=0.042)、男性は非有意だった(ともに1%,p=0.528)。一方、糖尿病の有病率は男性のプレフレイル群で有意に高く(12 vs 23%,p=0.012)、女性は非有意だった(9 vs 14%,p=0.094)。

摂取エネルギー量や主要栄養素の摂取量は有意差なし

男性は、摂取エネルギー量や評価した主要・微量栄養素の摂取量のすべてについて、プレフレイル群と非プレフレイル群とで有意差がなかった。女性も主要栄養素の摂取量には有意差がなかった。例えば女性の摂取エネルギー量は、非プレフレイル群1,789±461kcal/日、プレフレイル群1,818±454kcal/日(p=0.646)であり、たんぱく質摂取量は同順に17.5±2.9%エネルギー、17.1±2.7%エネルギー(p=0.152)だった。

微量栄養素については、女性のカリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、ビタミンK、B1、B2、パントテン酸、鉄、亜鉛、銅の摂取量が、プレフレイル群で有意に少なかった。

マグネシウム摂取量のみが女性のプレフレイルと有意に関連

男性については、非プレフレイル群とプレフレイル群とで栄養素摂取量に差がなかったことから、女性についてのみ、多変量ロジスティック回帰分析を行った。前記の共変量で調整後、プレフレイルと有意に関連する因子として、年齢とマグネシウム摂取量のみが抽出された。

具体的には、年齢については65~69歳を基準とすると、70~74歳はOR1.74(95%CI;1.03~2.93)、75~79歳はOR2.42(1.39~4.22)、80歳以上はOR4.53(2.59~7.92)であり、マグネシウム摂取量は第1四分位群(252mg/日未満)を基準とすると、第2四分位群(252~283mg/日)はOR0.52(0.29~0.92)、第3四分位群(284~318mg/日)はOR0.51(0.28~0.95)、第4四分位群(319mg/日以上)はOR0.38(0.19~0.74)だった。

一方、摂取エネルギー量は、第4四分位群(2,080kcal/日以上)でも第1四分位群(1,479cal/日未満)と有意差がなく、たんぱく質摂取量も第4四分位群(84.9g/日以上)と第1四分位群(67.8g/日未満)とで有意差がなかった。

マグネシウムによるフレイル予防効果の検証が求められる

以上より、マグネシウム摂取量の少なさが、高齢日本人女性のプレフレイル/フレイルと独立して関連していることが明らかになった。著者らは、「適切なマグネシウム摂取がプレフレイルを予防する可能性がある。因果関係の確認のための縦断研究、および予防効果確認のための介入研究が求められる」と結論付けている。

なお、マグネシウム摂取量とプレフレイルとの関連の背景としては、「筋収縮や神経細胞活動などに必要なエネルギー物質であるアデノシン三リン酸(ATP)からエネルギーを得る際にマグネシウムが必要とされることが関係しているのではないかと推察している」と、述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Association of Protein and Magnesium Intake with Prevalence of Prefrailty and Frailty in Community-Dwelling Older Japanese Women」。〔J Nutr Sci Vitaminol. 2021;67(1):39-47〕
原文はこちら(J-STAGE)

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