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15kmロードレース後、タンパク質・炭水化物摂取の効果は? 筋肉痛と筋損傷の比較

15kmのロードレース参加後の3日間にわたるタンパク質補給が筋肉痛を抑制するか、という研究の結果が報告された。結論は、この研究で採用されたプロトコルでは、炭水化物の補給と有意差がなく、疼痛閾値に関してはむしろ炭水化物補給の方が高いというものだ。著者らは「日常すでに十分なタンパク質を摂取している場合は、競技後のタンパク質摂取の有用性はみられない」と述べている。

15kmロードレース後、タンパク質・炭水化物摂取の効果は? 筋肉痛と筋損傷の比較

セブンヒルズ15kmロードレースで二重盲検試験

高強度持久力運動後のタンパク質補給によって、遅発性筋肉痛や筋障害マーカーが抑制されるとの複数の報告がある一方で、それを否定する研究結果も報告されている。他方、炭水化物摂取にもインスリン分泌刺激を介したタンパク質異化抑制・合成促進作用があるが、競技後の炭水化物摂取が遅発性筋肉痛や筋障害マーカーに及ぼす影響については詳しくわかっていない。

本論文の著者らはこの点を、オランダのセブンヒルズでの15kmロードレースに参加したレクリエーションランナーを対象とする二重盲検試験で検証した。セブンヒルズ15kmロードレースは世界記録保持者が参加するハイレベルな大会として知られている。

25~65歳のランナー419名がこの研究にエントリーし、糖尿病や腎疾患、アレルギー疾患などの罹患者を除いた323人が登録され、タンパク質サプリメント摂取群(160名)またはプラセボ(炭水化物)サプリ摂取群(163名)に、1対1で割り付けられた。

研究プロトコル:レース後3日まで介入

参加者はレースの3日前からレース後3日目まで、筋肉痛のレベルをオンライン版数値疼痛評価尺度(Numeric Pain Rating Scale;NPRS)を含む簡易版質問票(Short-Form Brief Pain Inventory;BPI-SF)で評価された(0~10点の範囲)。また食事摂取習慣について、24時間思い出し法にて調査された。

レース終了直後に、タンパク質またはプラセボのサプリを摂取し、その後3日目までサプリを摂取するよう指示された。また、レース当日とレース後2日目までの食事摂取量を24時間思い出し法で調査された。

さらに、タンパク質サプリ群のうち75名とプラセボ群の74名に対しては、筋肉痛の他覚的検査を施行するとともに、筋障害マーカーとしてクレアチンキナーゼ(CK)と乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)が測定された。

サプリメントについて:20gの乳タンパク質と等カロリーの炭水化物を比較

レース直後、タンパク質群には乳製品ベースのタンパク質サプリメント250mL(カゼイン80%、ホエイプロテイン20%からなる20gの乳タンパク質を含む)を、プラセボ群には等カロリーの炭水化物プラセボドリンク250mLを摂取し、レース後1日、2日、3日の朝食時に同量を摂取。さらに、レース当日とレース後の1日、2日の睡眠前に、2サーブ(朝食時の倍量の500mL〈40gの乳タンパク質〉または等カロリープラセボ)を摂取した。

プロテインサプリには1サーブあたり、乳タンパク質20g、脂質0.6g、炭水化物9.6gが含まれており、123kcal。プラセボはマルトデキストリンベースで、タンパク質0g、脂質0.6g、炭水化物29.3gで、123kcal。

参加者の特徴:食習慣やレース前の筋肉痛、レース走行速度に有意差なし

323人の参加者の年齢は44±11歳、56%が男性。怪我や病気のためにレースに参加しなかった人が9名いたほか、レース後3日間にわたるフォローアップができなかった人、プロトコルどおりにサプリを摂取しなかった人を除き、タンパク質群105名、プラセボ群109名がプロトコルどおりの介入を終了した。

日常のタンパク質摂取量は、タンパク質群(1.11±0.33g/kg/日)、プラセボ群1.17±0.37g/kg/日であり両群同等だった(p=0.21)。摂取エネルギー量、主要栄養素やアルコール摂取量なども群間差はなかった。

また、レース中の最大心拍数94±6%の運動強度、平均速度12.1±2.2km/時で行われたが、この点についても群間差はなく、レース前の筋肉痛レベルも群間差はなかった。

タンパク質摂取群で痛みが強い傾向

それでは結果をみてみよう。主な結果は、主観的な筋肉痛、客観的な評価による筋肉痛のレベル、および筋障害マーカーであり、ITT(intention to treat)解析とPP(per protocol)解析が行われている。なお、ITT解析は当初の割り付けどおりに2群を比較するもので、PP解析はプロトコルどおりに介入が行われた参加者のみを比較するもの。

主観的な筋肉痛

ITT解析では、主観的な筋肉痛についてはベースライン時およびレース後1~3日後に、有意な群間差がなかった。

しかしPP解析では、レース後1日目のNPRSが、タンパク質群2.96±2.27、プラセボ群2.46±2.38であり、タンパク質群のほうが有意に痛みが強いという結果だった(p=0.039)。

ただしレース後2日、3日後は群間差がなかった。

筋肉痛の客観的評価

デジタル圧力アルゴメーターを用いた筋肉痛の他覚的検査の結果、ITT解析ではレース後1日目に、大腿直筋(81.5±31.0 vs 92.4±31.1,p=0.034)と内側広筋(61.6±25.4 vs 74.0±30.0,p=0.007)の疼痛閾値がタンパク質群で有意に低いという結果だった。外側広筋もタンパク質群の閾値が低かったが有意でなかった(73.8±29.4 vs 82.7±33.5,p=0.088)。

ITT解析でも同様の結果が得られた。

筋障害マーカー

筋障害マーカーとして評価したCKとLDHは、ITT解析とPP解析のいずれでも有意差はなかった。

ふだんのタンパク質摂取量が結果に影響?

以上の結果のまとめとして著者らは、「レクリエーションランナーでは、15kmのロードレース後の筋肉痛や筋障害マーカーに対するタンパク質補給のメリットは見いだせなかった。ケース後1日目では、主観的および客観的評価による痛みレベルが、タンパク質摂取群で高かった。一方でレース後の炭水化物補給は、レース後24時間の運動誘発性筋肉痛を軽減するのにより効果的であることが示された」とし、「筋肉痛を抑制するという点においては、競技後のタンパク質摂取は好ましいものではない」と結論付けている。

日常のタンパク質摂取量が十分なら、痛み抑制に対する上乗せ効果は少ない

なお、このような結果となった背景として著者らは、習慣的なタンパク質摂取量がタンパク質群1.11g/kg/日、プラセボ群1.17g/kg/日と既に十分であったことを指摘している。ただし、持久系アスリートには1.2~1.4g/kg/日のタンパク質摂取が推奨されており、今回の検討におけるタンパク質摂取量に群間の有意差はないものの、1.2g/kg/日以上摂取している人の割合は タンパク質群31%に比較してプラセボ群は42%と多かった(p=0.081)。この違いの影響をどのように解釈するかは今後の検討課題と言えよう。

文献情報

原題のタイトルは、「The Effect of Protein Supplementation versus Carbohydrate Supplementation on Muscle Damage Markers and Soreness Following a 15-km Road Race: A Double-Blind Randomized Controlled Trial」。〔Nutrients. 2021 Mar 5;13(3):858〕
原文はこちら(MDPI)

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