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習慣的にカフェイン摂取している女性アスリートにも、急性エルゴジェニック効果はあるか

カフェインを習慣的に摂取している女性も、カフェイン摂取後の急性エルゴジェニック効果は認められるという研究結果が報告された。ただし著者らは「カフェイン摂取は競技前などに限り、日常のトレーニングでは用いるべきではないのではないか」とも述べている。

習慣的にカフェイン摂取している女性アスリートにも、急性エルゴジェニック効果はあるか

カフェインの摂取が運動強度や筋持久力を向上させることに関しては多数の報告がみられる。しかしそれらの報告は男性を対象に行われた研究が多いうえに、カフェイン摂取の効果は男性に比較して女性では小さいことを示唆するデータもある。また、習慣的にカフェインを摂取している場合に摂取後の急性効果が減弱する可能性を示した報告もある。ただしその点についても女性ではほとんど検討されていない。

著者らは、これらの点を明らかにする目的で、以下の検討を行った。

習慣的にトレーニングとカフェイン摂取を続けている女性を対象に研究

この研究は、健康で日常的にトレーニングを行っている21名の女性を対象に行われた。適格条件は、神経・筋骨格系の障害がないこと、3mg/kg/日以上のカフェインを習慣的に摂取していること、最低2年のレジスタンストレーニングの経験があること、研究参加前の6カ月間に少なくとも週3日のレジスタンストレーニングを行っていることとした。また、研究結果に影響を与える可能性のある薬剤、栄養補助食品、エルゴジェニックエイド(βアラニン、クレアチンなど)を使用している場合は除外した。

研究参加者の主な背景は、年齢は23.0±0.9歳、体重59.0±6.6kg、身長168.8±4.8cm、体脂肪率19.8±3.3%、レジスタンストレーニング歴2.9±1.0年、ベンチプレスエクササイズでの1RM(repetition maximum.最大反復回数)40.0±9.7kg、1RM/体重比67.9±12.4%、カフェイン摂取量5.8±2.6mg/kg/日(344.4±172.3mg/日)、摂取エネルギー量2,131.2±185.9kcal、タンパク質摂取比率20.4±3.0%、炭水化物摂取比率50.1±3.5%、脂質摂取比率29.5±2.3%。

無作為化二重盲検クロスオーバー法で検討

研究デザインは、研究参加者全員にプラセボ摂取条件とカフェイン(低用量と高用量)摂取条件による計3回のテストを行い、試行条件を知らされていない研究者が結果を判定する無作為化二重盲検クロスオーバー法。カフェイン用量は低用量が3mg/kg、高用量が6mg/kg。

参加者には、テスト試行の24時間前から激しい運動を控え、ふだんとかわらない食事を摂取し、12時間前からはカフェインの摂取を禁止した。3回の試行には1週間のウォッシュアウト期間を設け、3回とも同じ時間帯に試行した。

カフェインまたはプラセボ摂取の60分後に、ベンチプレスエクササイズで1RM、および50%1RMにて筋持久力を測定した。

カフェイン摂取条件では1RMが有意に上昇

1RMはプラセボ条件では40.48±9.21kgに対し、低用量カフェイン摂取条件は41.68±8.98kg(p=0.01)、高用量カフェイン摂取条件は42.98±8.79kg(p<0.01)で、ともに有意に高値だった。また、カフェインの摂取量による違いも有意であり(p<0.01)、高用量摂取条件のほうが1RMが高値だった。

一方、50%1RMでの反復回数(repetition;REP)は、同順に33.05±6.59回、33.81±5.46回、35.29±6.99回であり、カフェイン摂取条件で多い傾向にあったが、有意には至らなかった(p=0.18)。ただし、筋肉が緊張下にある時間(time under tension;TUT)は、同順に53.52±11.44秒、57.05±10.90秒、61.76±15.39秒であり、高用量カフェイン摂取条件はプラセボ条件に比べて有意に長かった(p<0.01)。

その他、平均出力、最大出力、平均バー速度、最大バー速度については、条件間に有意な差がなかった。

カフェイン摂取は、いざという時に限定すべき?

以上の結果から著者らは結論で、「習慣的にカフェインを摂取している女性が、ふだんどおりのパフォーマンスを発揮するには、日常どおりの摂取が推奨される可能性が示唆される」と述べている。ただし、レジスタンストレーニングの効果の大半は筋持久力の向上に基づくものであり、今回の検討で反復回数には有意差がなかったことから、「カフェインのエルゴジェニック効果の馴化を抑制するために、競技前または非常に高強度のトレーニングを行う前だけに摂取を限定すべきかもしれない」としている。

なお、本研究では上肢の筋力のみを検討しており、「他の部位の筋力への影響は述べることができない」と付言している。

文献情報

原題のタイトルは、「The effects of different doses of caffeine on maximal strength and strength‐endurance in women habituated to caffeine」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2021 Mar 30;18(1):25〕
原文はこちら(Springer Nature)

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