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栄養で睡眠をサポートする オーストラリア男子プロサッカー選手対象研究からのヒント

質の良い睡眠を確保するには、夕方以降の食事の摂り方が重要である可能性が、オーストラリアの男子エリートサッカー選手を対象に行われた研究から示された。著者らは、「ホエイベースのプロテインが良い可能性がある」などの具体策を挙げている。スポーツのパフォーマンス維持・向上に重要なトレーニングからの回復に必須の睡眠を、栄養からサポートする戦略につながるかもしれない。

栄養で睡眠をサポートする オーストラリア男子プロサッカー選手対象研究からのヒント

パフォーマンスを支える回復、回復を支える睡眠、睡眠を支える栄養

競技やトレーニング後の回復は、アスリートがパフォーマンスの維持・向上のために最も重視すべき項目の一つ。その回復を支える手段の一つに、睡眠が挙げられる。一般的に毎晩7~9時間の睡眠が良いとされることが多いが、睡眠時間が7時間未満のアスリートも少なくない。

睡眠時間や睡眠の質を改善する手段の一つに、栄養が挙げられる。これまでに、高炭水化物食で徐波睡眠(深睡眠)が減るという報告や、反対に低炭水化物食はレム睡眠を減らし徐波睡眠を増やすという報告、不飽和脂肪酸の多い食事は睡眠の質改善につながるという報告、就寝の2~3時間前に食事をとると睡眠時間が短くなるという報告など、さまざまな報告がみられる。しかし、それらがアスリートにも当てはまるものなのかは明らかとなっていない。

今回紹介する研究では、オーストラリアのプロサッカーリーグ(Australian Football League;AFL)のエリート男性プレーヤーにおける、日々の総摂取エネルギー量、主要栄養素の組成、夕食のタイミングと睡眠との関係が、前向きコホート研究で検討された。

睡眠に関するこれまでの知見をアスリートで調査

研究対象は、36名のAFL選手(23.5±3.9歳、86.6±8.1kg、189±7cm)。2018年シーズンに入る前の10日間にデータが収集された。

栄養摂取量は、スマートフォンアプリケーションを用いて各自が写真を撮り、摂取したすべての食品、飲料、サプリメントの詳細を入力。それをスポーツ栄養士が確認し、報告の誤りを修正した。

睡眠/覚醒行動は、アクチグラフ(手首などに装着する活動モニター)、および睡眠日誌によって、以下の6項目を評価した。

  • 就床時刻:就寝のために横になった時刻
  • 起床時刻:翌朝に目覚めて睡眠を終了した時刻
  • 入眠潜時(SOL):就床時刻から入眠までの時間
  • 中途覚醒時間(WASO):睡眠中に目覚めた時間の合計
  • 総睡眠時間(TST):睡眠時間から中途覚醒時間を除いた時間
  • 睡眠効率(SE):就床時間に占める総睡眠時間の割合

栄養摂取状況が睡眠の時間や質と有意に関連

結果について、まず栄養摂取量をみると、1日の摂取エネルギー量は平均3,346±956kcal、炭水化物は298±117g(3.4±1.4g/kg)、蛋白質191±66g(2.2±0.8g/kg)、脂質151±62g(1.7±0.7g/kg)だった。一方、就床時刻は22:40、起床時刻は7:50、総睡眠時間は7.9±1.1時間、中途覚醒時間は45±20分、睡眠効率は91±3%、入眠潜時は5±9分だった。

摂取エネルギー量、蛋白質摂取量と、睡眠の質との関連

総エネルギー摂取量が1MJ(239kcal)多いごとに、中途覚醒時間が3分増加していた(p=0.032)。蛋白質摂取量が1g多いごとに中途覚醒時間が0.04分(2秒。p=0.014)増加し、1g/kg多いごとに4分(p=0.013)増加していた。

また、蛋白質摂取量が1g/日多いごとに睡眠効率が0.01%(p=0.007)低下し、1g/kg多いごとに0.7%(p=0.006)低下していた。

18時以降の栄養摂取状況と睡眠時間、睡眠の質との関連

夕方(18時)以降の摂取エネルギー量が1MJ(239kcal)多いごとに、入眠潜時が5分増加していた(p=0.011)。反対に、18時以降の蛋白質摂取量が1g多いごとに入眠潜時が0.03分(2秒。p=0.013)減少し、1g/kg多いごとに2分(p=0.013)減少していた。

また、18時以降の砂糖摂取量が1g多いごとに総睡眠時間が0.1分(6秒。p=0.039)減少し、1g/kg多いごとに5分(p=0.027)減少していた。一方、中途覚醒時間は同順に0.012分(1秒。p=0.003)、1分(p=0.005)減少し、睡眠効率は0.002%(p=0.015)、0.2%(p=0.021)上昇していた。

夕食や夜食の摂食から就床までの時間と睡眠時間、睡眠の質との関連

夕食から就床時刻までの時間が1時間長いごとに、総睡眠時間が8分減少し(p=0.042)、中途覚醒時間が2分減少していた(p = 0.015)。夕食以外の就寝前の最後の摂食時間から就床時刻までの時間が1時間長いごとに、総睡眠時間が6分減少していた(p=0.014)。

結論と具体的な提案

これらの結果をもとに著者らは結論を以下のようにまとめている。

「睡眠と栄養摂取との関連を検討する際、総摂取エネルギー量よりも夕方(18時)以降の食事に焦点を当てるべきであるように思われる。本研究では、夕方の砂糖の摂取と食事のタイミングが総睡眠時間と最も関連があった。具体的には、砂糖の摂取量が多いことと、夕食から就床までの時間が長いことが、総睡眠時間の減少に関連していた。夕方の蛋白質摂取は入眠潜時を減少させ、夕方のエネルギー摂取は入眠潜時を増加させていたが、既報からの知見を考慮すると、これらの所見の解釈には注意が必要かもしれない。因果関係を追究するための介入研究が必要とされる」。

また、良好な睡眠のための具体的な提案として、夕方に低糖のスナックを摂取したり、就寝前に牛乳やホエイベースのプロテインなどを摂取したりすると良いのではないかと述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Nutrient intake, meal timing and sleep in elite male Australian football players」。〔J Sci Med Sport. 2021 Jan;24(1):7-12〕
原文はこちら(Elsevier)

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