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女性ランナーの疲労骨折の危険因子 調査対象1,600人以上のWebアンケートからの知見

女性ランナーの疲労骨折の危険因子に関する調査結果が報告された。さまざまな年齢のランナーを対象に1,600人以上から得た回答を基に、多角的な分析がなされている点が特徴の研究。疲労骨折の既往の有無で大別すると、摂取エネルギー量が足りているか否かや、行っているクロスとレーニングの種類など、評価された多くの項目に相違が存在することが示されている。

思春期アスリートの食物、食欲、栄養に関するコーチの認識 インドからの報告

幅広い年齢層、かつサンプル数の多さが特徴の調査

疲労骨折は、同部位への軽い負荷の積み重ねによって生じる不完全な骨折。ランナーは疲労骨折の有病率が高く、疲労骨折既往者の69%をランナーが占め、かつ女性は男性の2倍以上と報告されている。女性の疲労骨折の危険因子として、男性とは異なる解剖学的特徴、ホルモン状態、女性アスリートトライアド(低エネルギー可用性、月経異常、骨塩密度低下)などが該当する。

女性ランナーの疲労骨折の有病率等についてはこれまでにも報告されてきている。ただし、特定の団体等に所属するアスリートに限られていたり、比較的若年者のみを対象に調査されていたり、サンプル数が少ないといった制限事項のある研究が少なくなかった。そこで本研究においては、オンライン調査というデザイン特性を生かし、大規模なサンプル数と幅広い年齢層から回答を得て、疲労骨折のリスク因子の特定を試みた。

疲労骨折の有無と関連因子を39項目の質問で検討

アンケートの原案は6名の理学療法士が作成し、アンケート調査の専門家の手で調整された後、10人の女性ランナーを対象にパイロット調査を実施して再調整した。最終的に、人口統計学的項目、ランニングの内容の詳細、クロストレーニングの実施状況、栄養摂取状況など、39項目から成るアンケートとした。

調査回答の適格条件は、18歳以上の女性ランナーであることとし、ソーシャルメディア(Facebook、Twitter、Instagram)を介して3カ月にわたって調査への協力を呼びかけた。また、女性ランナーが頻繁に訪れるWebサイトに有料広告を掲載した。

計1,905名からの回答があり、うち、男性、ランナーでない、疲労骨折の既往や年齢に関する質問に答えていない回答を除外し、1,647名の回答を解析対象とした。

25.4%が疲労骨折を経験

回答者の主な特性は、年齢が40.1±11.5歳(範囲18~79歳)、BMI23.6±4.1であり、月経の有無は閉経前が55.3%、閉経後が16.2%であり、15.4%が閉経期、12.9%は不明。6.1%は骨減少症、2.2%は骨粗鬆症と診断されていた。また、大半(88.2%)は白人だった。この対象のうち、419名(25.4%)が1カ所以上に疲労骨折があると回答した。

疲労骨折のある群とない群での比較

本研究では対象者を疲労骨折のある群とない群に分け、さまざまな背景因子との関連を検討している。以下に、主として群間に有意差のみられた項目を抜粋して紹介する。

人口学的因子

年齢は、疲労骨折あり群のほうが有意に若年だった(38.9±11.8 vs 40.6±11.3歳,p=0.01)。BMIは疲労骨折なし群が有意に低値だった(23.9±4.0 vs 22.9±4.4,p<0.01)。人種/民族や学歴、居住地域(都市、郊外、農村)は有意差がなかった。

ランニング関連因子

「ランニング計画をどのように立てるか」との質問に対し、17.9%が‘コーチ’を選択し、疲労骨折のある群でその割合が高かった(25.5 vs 15.3%,p<0.01)。また29.3%が‘本またはウェブサイト’を選択し、疲労骨折のある群でその割合が低かった(25.3 vs 30.6%,p=0.04)。 ‘自分自身’との回答は37.0%、‘個人トレーナー’は2.1%であり、それらについては疲労骨折の有無での群間差は有意でなかった。このほか、週あたりのランニング日数、トレーニング中の平均走行距離、ランニングペース、およびランニング歴などの一部が疲労骨折の有無に関連していた。

クロストレーニングとの関連

ランニング以外に行うトレーニング目的の身体活動(クロストレーニング)としては、筋力トレーニングが最も多く69.2%が行っており、続いてサイクリングが45.2%、ヨガ/ピラティスが44.4%、ハイキング39.9%、水泳25.1%などが選択された。これらのうち、サイクリング(54.4 vs 42.0%,p<0.01)や水泳(29.6 vs 23.9%,p=0.01)は、疲労骨折を有する群でより多く実施されていた。

栄養関連因子

「十分なエネルギーを摂取しているか」との質問への回答は、‘はい’が83.8%、‘いいえ’が6.4%、‘わからない’が9.8%だった。疲労骨折あり群での‘はい’との回答は、疲労骨折なし群よりも有意に少なかった(80.0 vs 85.1,p=0.04)。

「健康的でバランスのとれた食事を摂っているか」との質問への回答は、‘ほぼ毎回’が73.0%、‘時々’が25.4%、‘めったに’が1.6%であり、これらの選択率については疲労骨折の有無別にみた有意な群間差はなかった。

疾患既往歴、常用している薬品やサプリメントとの関連

前述のように、骨粗鬆症や骨減少症の有病率に群間の有意差が存在した。そのほかにも、疲労骨折を有する群では喘息の有病率が有意に高かった(19.8 vs 14.7%,p=0.01)。その他の調査された疾患である、自己免疫疾患、糖尿病、消化器疾患、関節リウマチ、甲状腺疾患、神経学的症状は、有病率に有意差がなかった。

定期的に服用している薬の中では、抗炎症薬(NSAID)は疲労骨折を有する群で服用者率が高く(14.6 vs 9.6%,p<0.01)、抗アレルギー薬は服用者率が低い(4.0 vs 1.9%,p=0.04)という有意差があった。

サプリメントについては、カルシウム、ビタミンD、プロバイオティクスの利用率が疲労骨折を有する群で有意に高く、マルチビタミンやプロテイン、ω3などの利用率は有意差がなかった。

初経年齢や月経の有無との関連

初経年齢は12歳以下が41.4%、13~15歳が53.0%、16歳以上が5.3%だった。このうち、12歳以下で初経発来した人の割合は、疲労骨折を有する群のほうが有意に少なかった(35.2 vs 43.6%,p<0.01)。

過去に6カ月以上、無月経の時期があった人は30.8%で、疲労骨折を有する群のほうが有意にその割合が高かった(40.6 vs 27.5%,p<0.01)。現在の月経の有無(閉経前/閉経期/閉経後の状態)は、前述のとおり。これらの該当者率に、群間の有意差はなかった。避妊薬の利用者率は群間に有意差がなかった。

疲労骨折と関連する因子の多変量解析の結果

多変数ロジスティック回帰モデルにて疲労骨折と関連する因子を検討したところ、オッズ比の95%信頼区間の下限が1を上回る因子(疲労骨折を有することと有意に関連する因子)として、オフシーズンのトレーニング量が多いこと(OR1.74~1.86)、コーチによるランニング計画(OR1.40)、クロストレーニングでサイクリングを行っていること(OR1.51)、喘息(OR1.43)、骨減少症(OR4.14)、6カ月以上の無月経の既往あり(OR1.45)などが抽出された。

反対に、オッズ比の95%信頼区間の上限が1を下回る因子(疲労骨折を有さないことと有意に関連する因子)として、高身長(OR0.95)、都市への居住(vs郊外のOR0.73)、ランニングペースが速いこと(OR0.43~0.54)、クロストレーニングでハイキングをすること(OR0.72)、アレルギー疾患(OR0.42)などが抽出された。

疲労骨折発生後に変更したこと

疲労骨折を経験した女性アスリートの大半(91%)は、疲労骨折発生後にトレーニングや食事、サプリメントの摂取などの変更を行っていた。

多いものから順に、トレーニング活動の変更や走行距離の変更がそれぞれ約49%、運動強度の変更が約35%、ランニングシューズの変更が約34%、サプリメントの摂取・変更が約29%、ランニング法の変更が約21%、食事の変更が約18%、ランニングの場所(地質)の変更が約16%、ランニングスピードの変更が約12%だった。

著者は、「女性ランナーの疲労骨折に関連する多くの内因性および外因性の因子が特定された。これらの因子と疲労骨折リスクの間の因果関係を推定するために、前向き研究が求められる」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Risk Factors for Stress Fractures in Female Runners: Results of a Survey」。〔Int J Sports Phys Ther. 2021 Feb 2;16(1):72-86〕
原文はこちら(NCBI)

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