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2000年~2018年のスポーツ栄養関連の研究を分析 最も多かった研究テーマは?

スポーツ栄養学の近年の研究テーマの傾向を、計量書誌学的に解析した結果が国際スポーツ栄養学会の「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に掲載された。主要な研究テーマとして18領域が抽出され、トップ3は、「筋肉量の増加とサプリメント摂取」、「炭水化物代謝」、「酸化ストレスとサプリメントの利用」だった。また、研究報告の件数は経年的に増加が続いているが、基礎研究の占める割合はすべての領域で大きく低下しているという。

2000年~2018年のスポーツ栄養関連の研究を分析 最も多かった研究テーマは?

スポーツ栄養学で関心の高い18のトピック

スポーツ栄養学は、栄養学、臨床、医療、医学、健康、スポーツ、食品科学など、ライフサイエンスの広範な領域の交差線上に位置する。この領域を対象とする計量書誌学的分析は、本報告が初めてという。

計量書誌学的分析とは、書籍やジャーナルに報告された論文のタイトル、著者、所属機関などの書誌情報を対象とする分析により、ある領域の研究テーマの量的・質的な変化を計量的に把握する研究手法。スポーツ心理学の領域では既にこの手法による研究結果の報告がみられる。

今回発表された研究では、2000年~2018年に発表された論文を対象として、スポーツ栄養学とスポーツ整理学の領域の動向が解析された。報告件数、報告された時期、報告が引用された件数等を基にした統計的解析により18件のテーマが、関心の強いトピックであることがわかった。報告件数の多いものから順に記すと以下のようになる(括弧内は報告件数)。

  1. 筋肉量の増加とサプリメント摂取(273)
  2. 炭水化物代謝(242)
  3. 酸化ストレスとサプリメントの利用(227)
  4. 運動適応と栄養戦略(221)
  5. 硝酸塩サプリメントの摂取(213)
  6. ヒト骨格筋と栄養戦略(211)
  7. 骨の健康と女性アスリートのトライアド(190)
  8. 食事摂取量と栄養知識(180)
  9. アスリートのエネルギー必要量の決定(173)
  10. 体液バランスと水分補給(151)
  11. 体重管理(142)
  12. サッカーと生理学(127)
  13. 水分補給戦略(119)
  14. サプリメントの利用とドーピング(114)
  15. 筋肉生理学:アルカローシスとアシドーシス(92)
  16. 酸化ストレスと炎症および抗酸化物質の摂取(89)
  17. 腸内細菌叢(75)
  18. 腹腔疾患(52)

最も扱われていた栄養素は、蛋白質と炭水化物

主要栄養素の中で、蛋白質と炭水化物が最も頻繁に扱われていた。これらの二つの栄養素は、栄養素としてのそれぞれの一般的な役割とともに、スポーツ栄養におけるエルゴジェニックな栄養素として研究されていた。

蛋白質とアミノ酸は、主として「筋肉量の増加とサプリメント摂取」および「酸化ストレスと炎症および抗酸化物質の摂取」というトピックで扱われ、炭水化物は「サッカーと生理学」で主に扱われ、フルクトースは「ヒト骨格筋と栄養戦略」というトピックで扱われていた。

そのほかに、βアラニン、クレアチン、カフェイン、硝酸塩、ナトリウムなども、とり上げられる頻度の高い栄養素だった。βアラニンは「筋肉生理学:アルカローシスとアシドーシス」のトピックで、クレアチンは「体重管理」と「筋肉量の増加とサプリメント摂取」のトピックで取り上げられていた。

報告件数は2000年以降に急速に増加

1976年以降の報告件数を経時的にみると、2000年代に入ってからスポーツ栄養学の研究が急速に活性化したことがわかった。

2010~2018年で生じた研究テーマごとの増減率をみると、「筋肉量の増加とサプリメント摂取」「硝酸塩サプリメントの摂取」は比較的安定して研究が続けられている。過去10年間で報告数が大きく伸びたのは、「サプリメントの利用とドーピング」と「食事摂取量と栄養知識」だった。

その一方で、主として基礎研究に関連するスポーツ栄養学のトピック(例えば「筋肉生理学:アルカローシスとアシドーシス」、「炭水化物代謝」など)は、報告数が大幅に減少している。この理由について著者は、スポーツ栄養学の既存の知見が、過去10年間で実用的な適用段階(例えばサプリメントの開発)を満たすものになったという事実に起因する可能性があるとしている。

スポーツ栄養学の4つの方向性

これらの解析から、スポーツ栄養学の現状と将来の発展性について、以下の4つにまとめることができるという。

  1. 基礎研究は、特定の製品開発の科学的基盤として活用可能であり、引き続き重要な役割を果たす。
  2. アスリートの栄養意識やドーピング物質の制限に関連するスポーツ栄養分析の重要性は、ますます高まりつつある。
  3. 特別な栄養ニーズ(例えば、食物不耐性、菜食主義、ハラール製品などの宗教的規制の遵守)も、スポーツとの関連性が高まっている。
  4. 特定スポーツに固有のニーズに関する栄養研究の重要性も高まりをみせている。

本論文の末尾で、著者らはスポーツ栄養学の計量書誌学的研究の意義について、以下のようにまとめている。「スポーツ栄養学は急速に発展し、有機的に進化している学際的な科学分野である。新たな知見の獲得とニーズの増大により、この科学領域は絶えず拡大しており、さまざまな生物学的および化学的システム、現代スポーツとの相互作用の理解が必要とされている。本研究のアプローチは、スポーツ栄養学の将来の方向性を示唆し、限られた研究資源の最適な活用に役立つものだ」。

文献情報

原題のタイトルは、「Structure and trends of international sport nutrition research between 2000 and 2018: bibliometric mapping of sport nutrition science」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2021 Feb 5;18(1):12〕
原文はこちら(Springer Nature)

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