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朝食に摂取する炭水化物が少ないと、昼食で補っても夕方のパフォーマンスが低下する

朝食に摂取する炭水化物が少ないと、夕方の持久力パフォーマンスが低下するという研究結果が報告された。この現象が生じる理由として、摂取量が不足していることが原因である可能性も考えられるがそうではなく、「朝」に食べないことが良くないというもの。朝食を欠食した分を昼食で補ったとしても、夕方のパフォーマンスはやはり、朝食を食べた場合よりも低かったという。

炭水化物が豊富な朝食を抜くと、昼食で補っても夕方のパフォーマンスが低下する

摂取量を一致させた上で朝食を欠食させる無作為化クロスオーバー試験

持久力は肝臓と骨格筋のグリコーゲン可用性に依存するため、運動開始数時間前の適量の炭水化物摂取がエルゴジェニックエイドとして推奨されている。朝または午後の早い時間帯に炭水化物に富む食事をとると、夜間からの絶食を続けた場合と比較して、グリコーゲンの可用性が増加するというエビデンスがある。ただし、炭水化物の摂取量と摂取タイミングのいずれが重要なのかは、これまでの研究では明らかでなかった。本論文の著者らは、異なる摂取タイミングで合計の摂取量は同等となるように条件を設定した無作為化クロスオーバー試験にて、この点を検討した。

対象はトレーニングされたサイクリスト

研究の対象は、訓練され競争力のある11人のトライアスリートまたはロードサイクリスト(女性1人)。主な背景は、年齢25±7歳、BMI23±2、VO2max61±5mL/kg/分、Wmax386±48W。適格基準は、定期的なサイクリングベースのトレーニング(週4時間以上)を行っており、週に4日以上朝食を摂取していること。除外基準は、18歳未満または40歳以上、朝食欠食者、慢性疾患の罹患者、およびスクリーニング中の血圧が140/90mmHg以上または安静時心拍数100bpm以上。

全員に対し、朝食を食べる条件と食べない条件での20kmサイクリングタイムトライアルをランダムで施行した。両条件の試験前日に、自宅で摂取するための計量食品パッケージを提供。

朝食摂取条件では、参加者ごと個別に設定されたエネルギー要件の20%の標準化された組成の高炭水化物の朝食を、午前8時~9時の間に摂取。続いて正午~午後2時の間にエネルギー要件の30%に相当する昼食を摂取してもらった。朝食欠食条件では、試験前日の午後10時以降は絶食し、当日の昼食のタイミングにエネルギー要件の50%に相当する高炭水化物を昼食として摂取してもらった。

2条件間で個別化されたエネルギー量は同一であり、朝食に相当する分の栄養素は、炭水化物81.5±0.4%、蛋白質12.7±0.3%、脂質5.8±0.1%とした。水は自由に摂取可能とし、その摂取量は群間差はなかった(朝食摂取条件3.0±1.3 vs 朝食欠食条件2.6±0.8L,p=0.10)。

基質酸化速度やパフォーマンスと、トライアル開始直後のRPEに有意差

タイムトライアル試験は、午後5~7時に施行した。

40%Wmaxで10分間の定常負荷フェーズにて、基質の酸化速度を評価した後、自転車エルゴメーターを用い20km走行テストを行った。トライアル中、被験者は残りの距離のみを確認でき、出力などのパフォーマンス関連パラメーターの情報はマスクした。また、音楽の聴取や周囲からの声掛けは禁止した。

テスト中、2,500m走行するごとの心拍数と自覚的運動強度(ratings of perceived exertion;RPE)を記録した。また、試験当日は食欲の変化をビジュアルアナログスケール(VAS)で評価した。

食欲と基質の酸化への影響

食欲のVASスコアは、起床時と昼の直前では両条件間で同等だったが、午前中は朝食欠食条件が有意に高い状態で推移した。昼食後はトライアル直前まで朝食摂取条件のほうが有意に高い状態で推移した。

タイムトライアルに先立って行った定常負荷での試験から、炭水化物および脂質の酸化速度は、朝食欠食条件のほうが有意に遅かった(炭水化物:1.55±0.46 vs 1.22±0.42g/分,p<0.05.脂質:0.55±0.19 vs 0.76±0.22g/分,p<0.001)。定常負荷状態でのエネルギー消費率は、条件間で有意差がなかった(47.7±7.4 vs 44.8±7.1kJ/分,p=0.08)。

20kmタイムトライアルのパフォーマンスへの影響

タイムトライアル中の出力は、朝食摂取条件のほうが高値で推移した。平均出力は、有意差をもって朝食摂取条件のほうが有意に高かった(294±56 vs 285±54W,p<0.01)。またトライアルの結果は朝食摂取条件のほうが有意に短かった(1,075±294 vs 1,113±326秒,p=0.02)。これらの結果に、トライアルの試行順序の影響は認められなかった。

自覚的運動強度(RPE)、心拍数、乳酸値、血糖値への影響

自覚的運動強度(RPE)は、2,500m走行時点で有意差が認められ、朝食欠食条件で高かった(12.4±1.7 vs 13.4±1.1au,p<0.01)。5,000m時点でも朝食欠食条件のほうが高かったが有意ではなく、7,500m以降はほぼ同等だった。

心拍数、乳酸値、血糖値に関しては、有意な差は認められなかった。

競技のスタートが夕方の場合も、朝食の炭水化物摂取が大切

以上の結果から、炭水化物の豊富な朝食を抜いた後の夕方の高強度持久力運動パフォーマンスは、欠食分を昼食時に満たしたとしても損なわれることが明らかになった。著者らはとくに、朝食欠食条件では出力の低下がトライアルを通じてみられ、開始直後の2,500m時点ではRPEにも有意差があったことに注目。総エネルギー量または炭水化物の摂取量が重要なのではなく、摂取のタイミングによって夕方以降のグリコーゲン可用性の違いが現れる可能性があると述べている。

結論として、「夕方のスポーツパフォーマンスを最適化するために、早朝の高炭水化物食摂取を検討する必要があることが示唆される」とまとめている。なお、本検討の対象が朝食の非欠食者であり、結果は多くのアスリートに当てはまると考えられるが、一部の朝食を欠食する習慣のあるアスリートでの検討の必要性についても触れている。

文献情報

原題のタイトルは、「Omission of a carbohydrate-rich breakfast impairs evening endurance exercise performance despite complete dietary compensation at lunch」。〔Eur J Sport Sci. 2020 Aug 27;1-9.〕
原文はこちら(Informa UK Limited)

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