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スペインでスポーツ栄養版「食品交換表」の開発 栄養補助食品を7群に分類

疾患治療における食事療法に「食品交換表」が用いられることがあるが、そのスポーツ栄養版にあたる交換表の開発がスペインで試みられ、「Nutrients」誌に発表された。同国で流通しているスポーツ栄養食品をエネルギー量や栄養成分により7群に分けたもので、スポーツ前・中・後にどの群から何単位の食品を摂取すると良いか、その目安として活用されることを想定している。

スペインでスポーツ栄養版「食品交換表」の開発 栄養補助食品を7群に分類

食品交換表の開発過程

日本国内で用いられている「食品交換表」は、例えば糖尿病食用の場合、食材に含まれる主要栄養素が類似しているものをいくつかのグループに群分けした上で、エネルギー量が一致するようにその分量を「1単位」として示している。同じグループ内の同じ単位の食品は、ほぼ同カロリーで栄養成分も同一と見なすことができ、"交換"して選ぶことができる。蛋白質量が同一になるように設計された、腎臓病食用の食品交換表も存在する。

スペインでも同様の手法が過去70年にわたり用いられているといい、著者らはこの考え方をスポーツ栄養に応用することを試みた。

まず、同国で流通している栄養補助食品から、スポーツのエルゴジェニックエイドとしてのエビデンスが豊富なものとして、18社・322製品を抽出。

次にそれらの製品を、主要栄養素(炭水化物、糖、蛋白質、炭水化物と蛋白質双方が含まれるもの)に従い、食品形態別に群分けした。例えば、スポーツバーなどの固形の食品で、正味重量の5%以上を砂糖が占める場合、その製品は糖分が多いとみなした。スポーツ飲料などの流動食品であれば、その値を2.5%以上とした。同様に、エネルギー量の少なくとも20%を蛋白質が占める場合、例えばプロテインバーなどは、蛋白含有量が高い食品とみなした。

続いて、

  1. スポーツドリンク、
  2. スポーツジェル、
  3. スポーツバー、
  4. スポーツスナック、
  5. プロテインパウダー、
  6. プロテインバー、
  7. 液体の複合栄養製品

という7タイプの食品形態それぞれについて、上記の基準に則りサブクループを作成。サブグループを含むすべてのカテゴリー数は合計12となり、全製品をいずれかに割付けた。

さらに、一般的な製品サイズまたは調理器具の容量(小さじ2など)に含まれるエネルギー量が20kcal、炭水化物5g、蛋白質3g、脂質2gとする基準を目安に、主要栄養素量の変動係数が30%以内になるように用量を調整。Zスコアが大きくこの範囲から外れる製品はリストから除外した。

これらの工程を経て最終的に、7カテゴリー、12のサブグループに分類された食品交換表が開発された。

想定される活用法

開発された食品交換表を評価すると、例えばスポーツドリンクやジェル、バーのカテゴリーで炭水化物が豊富なグループとされた製品は、1サービング(単位)あたりの炭水化物量は24〜35gの範囲にあった。また蛋白質と脂質はごくわずかだった(1サービングあたり0〜2g)。

また、プロテインパウダーやバーの蛋白質が豊富な製品とされたグループの蛋白質量は1サービングあたり11〜26gの範囲であり、一方、炭水化物は平均2g、脂質は0.5〜1gと、ほとんど含まれていなかった。

これにより、この食品交換表を用いることで、エネルギー量と主要栄養素量を一定に保ちながら、多くの製品から任意に選択して摂取できると考えられる。論文では、この交換表の具体的な活用法を三つ例示している。

そのうちの一つは、サッカー選手が試合にフル出場することを想定したもので、その場合、炭水化物を30g/時、水分を500mL/時必要とし、それにはハーフタイムにスポーツドリンクを1サービング、またはスポーツジェルを1サービングと水500mLのいずれかを摂取することになる。

二つ目の例はスポーツ後の回復について、体重60kgのアスリートの場合、炭水化物48g(0.8g/kg)と蛋白質12~24g(0.2~0.4g/kg)必要とし、それにはプロテインバーのサブグループ2から1サービングと、スポーツバーのサブグループ2から1サービングを摂取することになる。

三つ目の例では競技時間が長時間に及ぶマウンテンバイクレースを取り上げ、1時間ごとに摂取する食品サブグループとサービング数を示している。

著者らはこの食品交換表を「トレーニングや競技の前、最中、後のアスリートの栄養摂取に大きく役立つ可能性がある新しいツール。これを用いることで、アスリートのトレーニング内容や競技に合わせて、食事計画をより正確に調整できるようになる」と述べている。なお、注意事項として、この交換表に収載している製品は現在スペイン国内で流通しているものであり、地域等によってブランド名や栄養プロファイルが異なる可能性がある点を指摘し、使用に際しての事前チェックが必要としている。

文献情報

原題のタイトルは、「Development of a Sport Food Exchange List for Dietetic Practice in Sport Nutrition」。〔Nutrients. 2020 Aug 11;12(8):E2403〕
原文はこちら(MDPI)

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