4週間のBCAA摂取で柔道やサンボ選手の筋肉量、ヘモグロビンが有意に上昇
分岐鎖アミノ酸(BCAA)を摂取することで、筋肉量やヘモグロビンが有意に上昇し、免疫関連指標も改善するという研究結果がロシアから報告された。
研究の対象は、トレーニング期間中の武道家20名(17~18歳)で、10名は柔道、他の10名はサンボ(旧ソ連邦で開発された武術)の選手。無作為に2群に分け、1群には通常の食事に加えBCAAを5g/日を追加し、対照群にはBCAAを含まない食事を摂取させ、4週間にわたり栄養摂取状況や体組成、免疫能等の変化を評価した。
介入期間中の食事は最適化された栄養処方に基づいており、摂取エネルギー量および摂取された栄養素の比率に有意な群間差はなかった。また、BMI、除脂肪体重、基礎代謝量、消費エネルギー量等も有意差はなかった。
一方、4週間の介入によりBCAA群の筋肉量は23.4±0.6kgから25.1±0.8kgへ、増加する傾向がみられた(p<0.10)。対照群は介入前23.8±1.5kg、介入後24.1±1.7kgであり、変化はみられなかった。
また、細胞の生理学的機能を表し、新規の栄養指標として捉えられつつある位相角(Phase angle)は、BCAA群では6.41±0.32°から7.35±0.28°へと有意に増加し(p<0.01)、対照群は介入前6.78±0.42°、介入後7.05±0.25°であり、変化はみられなかった。
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)も、BCAA群でのみ有意な変化がみられた。具体的にはBCAA群のMCHは介入前29.0±0.2pg、介入後30.0±0.3pgで有意に(p<0.05)増加した一方、対照群は介入前29.0±0.7pg、介入後30.4±0.4pgであり、この変化は有意でなかった。
さらにBCAA群では好塩基球の減少(介入前0.69±0.05%、介入後0.54±0.05%)、インターロイキン-4(IL-4)の減少(1.6±0.1pg/mLから1.3±0.1pg/mL)が認められ、いずれの変化も有意だった(p<0.05)。
これらの結果について著者らは、「武道家の運動能力、免疫力、および適応能力を維持するためのスポーツ栄養におけるBCAA使用の有効性に新たなエビデンスとなるもの」とまとめている。
文献情報
原題のタイトルは、「The efficiency of branched chain aminoacids (BCAA) in the nutrition of combat sport athletes」。〔Vopr Pitan. 2019;88(4):48-56〕