血液検査でアスリートを守る! JADAが「日本国内ドーピング検査における採血に関する指針」を公開
公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(Japan Anti- Doping Agency:JADA)は、「日本国内ドーピング検査における採血に関する指針」を公開した。
ドーピング検査は年々巧妙化していて、検査をすり抜けるための新たな薬物や方法が開発されている。欧米では、このような状況に対抗する手段として、血液検体を採取する手法が既に一般化しつつある。
しかし、日本国内では、いまだに尿検体を採取する手法がドーピング検査の主流として用いられている。血液検体を採取する手法の手順や技術等が十分に確立されておらず、血液検体を採取する手法の実施件数が限られている現状だ。
このような状況を受け、本指針では、導入が遅れている血液検体を用いたドーピング検査の方法について、競技者の健康、安全、プライバシーへの配慮とともに、公平で適正なドーピング検査の手順を確保すること。また、医学的および法的な観点からのリスクを踏まえ、国内における、現時点での最も標準的と考えられる実施方法、実施体制が具体的に示されている。
世界的には、世界アンチ・ドーピング機構(World Anti-Doping Agency:WADA)の作成するドーピング検査に関する国際的な規程(World Anti-Doping Code(WADC-世界規程)、関連国際基準及び同ガイドライン等)が存在し、ドーピング検査としての血液検体採取は、これらの国際的な規程に基づいて行われる。
今回公開された指針は、同規程の内容を踏まえた内容となっているのはもちろんのこと、「公正に競技を実施してクリーンな競技者を保護することを目的に、ドーピング検査を受けることがスポーツ(競技)に参加するにあたっての当然の義務として、全ての競技者に平等に課されているものであることが前提」としている。
同指針の序文は、1年後に迫った東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に触れ、「スポーツの固有の価値を損なうドーピングに対する実効性のある対策の一助となるべく、本指針を活用し、医師ないし医師の指示の下で行う看護師による血液検体の採取が幅広く実施されていくことを願うものである」と結ばれている。
「日本国内ドーピング検査における採血に関する指針」
「日本国内ドーピング検査における採血に関する指針」(JADA)
目 次
- 序文(指針について)
- 定義
- BCO による血液検体採取における医師との連携のあり方
- 競技者からの申出に対する対応
- 採血に関する事前説明と同意書の取得
- 外国人競技者への対応
- 障がいのある競技者への対応
- 血液検体採取の実施準備・作業環境
- 事故対応
付属文書
- 血液検体採取指示書(競技会検査用)
- 血液検体採取指示書(競技会外検査用)
- 事故報告書
- 血液検体採取指針遵守状況チェックリスト
関連情報
The World Anti-Doping Code(WADA)