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牛肉タンパク質補給は体組成と下肢筋力を改善する 系統的レビューでの検討

牛肉タンパク質補給は体組成と下肢筋力を改善する 系統的レビューでの検討

タンパク質補給は運動トレーニングを伴う場合、筋肉の同化作用を高め、物理的パフォーマンスを向上させる。この作用は、個人の栄養状態や消化吸収能、同化経路の働きなどにより左右されるが、タンパク質の供給源によっても異なると考えられる。

従来からホエイタンパク質(乳清タンパク質)を含むサプリメントの同化作用は精力的に研究されてきているが、近年では牛肉タンパク質も注目されるようになってきた。牛肉タンパク質はヘム鉄の含有量が多いため、タンパク質の補給だけでなく鉄分の摂取量増加にもつながり、血液学的パラメーターをも改善する可能性がある。ただし、牛肉タンパク質摂取のベネフィットに関する報告のメタアナリシスはこれまで行われていない。

このような背景から本研究では、ホエイタンパク質または牛肉タンパク質の補給を伴う運動トレーニング、およびタンパク質補給なし(タンパク質摂取を上乗せしない)場合の運動トレーニングの効果を検討した無作為化比較対照試験のメタアナリシスを実施。MEDLINE、Web of Science、SportDiscusに掲載された関連論文から、独立した2名のレビュアーにより7本の論文が抽出され、270名のデータが解析対象となった。

その結果、タンパク質の総摂取量は、ホエイタンパク質摂取群と牛肉タンパク質摂取群とで同等であり、有意な差はみられなかった(標準化平均差〈SMD〉=0.04,p=0.892)。同様に、除脂肪体重(SMD=-0.01,p=0.970)や体脂肪量(SMD=0.07,p=0.760)も両群同等だった。  一方、牛肉タンパク質摂取群をタンパク質補給なしの群と比べると、タンパク質総摂取量(SMD=0.68,p<0.001)、除脂肪体重(SMD=0.34,p=0.049)、および下肢筋力(SMD=0.40,p=0.014)を有意に増加させることが確認された。この結果から、牛肉タンパク質の補給はホエイタンパク質の補給と同レベルのタンパク質総摂取量を確保でき、除脂肪体重や下肢筋力の増強に有効であることが示唆された。

ただし、本研究において上肢筋力はタンパク質補給なしの群と有意な差は観察されなかった(SMD=0.16,p=0.536)。その理由として著者らは、タンパク質摂取量が1.6g/kg/日を超えた場合、さらなるタンパク質補給の効果は生じないことから、本研究においてはタンパク質補給なし群も既にこの上限に近いタンパク質を摂取していた可能性を指摘し、「ベースラインのタンパク質摂取量がより少ない対象であれば、上肢筋力も有意差が生じたのではないか」と考察している。

また、牛肉タンパク質摂取のメリットと考えられる鉄摂取量についても、有意差がみられなかった(SMD=0.29,p=0.089)。しかしこれについては「他の研究で牛肉タンパク質の有用性を示したものがあり、さらなる検討が必要」と述べている。

文 献

原題のタイトルは、「Does Beef Protein Supplementation Improve Body Composition and Exercise Performance? A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials」。〔Nutrients 2019, 11(6), 1429〕

原文はこちら(MDPI)

ホエイタンパク質(乳清タンパク質)とは

乳清タンパク(日本サプリメント協会)
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