平成30年度「食育白書」閣議決定 朝食欠食率が増加、目標達成に赤信号
平成30年度の「食育推進施策(食育白書)」が4日、閣議決定された。「食育白書」は食育基本法に基づき政府が毎年国会に提出しなければならないと規定されており、当該年度に講じた施策をまとめたもの。
平成30年度 食育白書 目次
はじめに 食育推進施策の基本的枠組み
第1部 食育推進施策をめぐる状況- 特集 健康寿命の延伸につながる食育の推進
- 第3次食育推進基本計画における位置付け
- 健康寿命と栄養・食生活に関する現状と取組
- ライフステージ別の現状と取組
- 第1章 家庭における食育の推進
- 第2章 学校、保育所等における食育の推進
- 第3章 地域における食育の推進
- 第4章 食育推進運動の展開
- 第5章 生産者と消費者との交流の促進、環境と調和のとれた農林漁業の活性化等
- 第6章 食文化の継承のための活動
- 第7章 食品の安全性・栄養等に関する情報提供の推進
- 第8章 調査、研究その他の施策の推進
- 食育推進施策の目標と現状に関する評価
白書は3部構成で、第1部は「健康寿命の延伸につながる食育の推進」。その中では農林水産省の「食育に関する意識調査」の結果を引用し、野菜をたくさん食べるようにしている人の割合が約8割に及ぶものの、若年世代ではその割合が低いことを述べている(20代で65%、30代70%)。これに対する具体的な施策の一例として、東京都足立区で行われている「あだちベジタベライフ」を紹介。730の飲食店の協力を得て、"野菜たっぷりメニュー"を充実させているという。また、厚生労働省の調査から、平均寿命と健康寿命に乖離があるものの、その差は男女ともに減少傾向にあるという効果を掲示している。
第2部は「食育推進施策の具体的取組」とし、白書において最もページ数を割いている。その現状だが、都道府県レベルでの食育推進計画の作成が既に100%を達成しており、市町村レベルでも2018年度に84.8%に及び、初めて80%の壁を越えたとを報告。また19の都道府県数は既に、管内市町村の食育計画作成が100%に達しているという。
国連サミットで2015年に採択された「持続可能な開発のためのアジェンダ」で、食品廃棄の半減がターゲット設定された。これを鑑み国内でもその半減を目指した取り組みが推進されているが、白書では、例えば横浜市では「食べきり協力店」として800店以上が展開中で、消費者の意識向上に努めているという事例を取り上げている。また、和食がユネスコの無形文化遺産に登録され5年経過したことを契機として、農林水産省が官民協働で「Let's!和ごはんプロジェクト」を立ち上げ、和食を推進していることを紹介している。
第3部は「食育推進施策の目標と現状に関する評価」のまとめ。2020年度の目標達成に向け着実に改善している項目がある一方で、「朝食の欠食率減少」は計画作成時よりむしろ悪化している。具体的な数値でみると、朝食を欠食する子どもの割合は、2015年度4.4%であり、これを2020年度までに0%とする目標であるのに対し、2018年度は5.5%に増加してしまっている。
同様に、「主食・主菜・野菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合」は、2015年度43.2%だったものが2018年度には39.7%に低下し、目標である2020年度55%以上から遠ざかった。2020年度の目標達成に向けて、さらに強力な施策推進が期待される。
関連情報
平成30年度 食育白書(農林水産省)
あだちベジタベライフ(東京都足立区)
Let's!和ごはんプロジェクト(農林水産省)