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コーヒーや紅茶の摂取は肺癌リスクの低下とも関連あり UKバイオバンクの前向きコホート研究

コーヒーや紅茶の適量の摂取が、肺癌の罹患リスクの低さと有意に関連していることが報告された。28万人を13年間追跡して交絡因子を調整後、コーヒーは1日1~2杯、紅茶は1日2~4杯飲んでいる人の肺癌罹患リスクが最も低いことが示されたという。UKバイオバンクを利用した中国の研究者による報告。

コーヒーや紅茶の摂取は肺癌リスクの低下とも関連あり UKバイオバンクの前向きコホート研究

コーヒー・紅茶の摂取と肺癌リスクとの関連を、大規模サンプルで前向きに検討

肺癌は癌の中で罹患率が1位または2位であり、癌による死亡原因として1位を占める。肺癌による死亡率の高さの一因は、多くが進行期に診断されていることであり、より早期に検出し得る検診システムの開発とともに、修正可能なリスク因子の探索が続けられている。

肝臓や大腸癌などのいつくかの癌種では、コーヒーまたは紅茶の摂取量が多いことがリスク低下と関連することが知られているが、肺癌との関連については一貫性のない結果が報告されてきている。過去の研究の一貫性の欠如の理由として、サンプルサイズの小ささや、後方視的デザインであるといった研究手法による限界が関係していると考えられる。

今回取り上げる論文は以上を背景として、英国で行われている一般住民対象の大規模疫学研究である「UKバイオバンク」のデータを用いた前向きコホート研究として実施された。

28万人を摂取量に基づき4群に群分けして13.26年追跡

UKバイオバンクには40~69歳の一般住民が50万人以上参加している。このうち今回の研究では、コーヒーと紅茶の摂取量に関するデータがあり、ベースライン時に肺がんと診断されておらず、後述の共変量に関するデータに欠落のない27万6,209人(55.38±8.01歳、女性52.4%)を解析対象とした。

ベースライン時の調査で把握したコーヒーおよび紅茶の摂取量に基づき、以下の4群に分類し、中央値13.26年間追跡した。なお、紅茶を意味する英単語として論文中には「tea」と書かれており、その種類(types of tea)が特定されていないことは、コーヒーの焙煎方法が特定されていないこととともに、研究の限界点の一つとして考察に述べられている。
解析に用いた摂取量の分類と対象者の割合:

1日に0.5~1杯のコーヒーを飲む群27.5%(摂取量の中央値は0.87杯)、2~3杯飲む群32.3%(同2.40杯)、4杯以上の群19.6%(5.25杯)で、コーヒーを飲む習慣がない群が20.6%(0.0杯)。なお、対象全体のコーヒー摂取量は中央値2.04杯だった。

1日に0.5~1杯の紅茶を飲む群12.5%(摂取量の中央値は0.86杯)、2~3杯飲む群30.2%(同2.51杯)、4杯以上の群42.7%(5.74杯)で、紅茶を飲む習慣がない群が20.6%(0.0杯)。なお、対象全体の紅茶の摂取量は中央値1.97杯だった。

コーヒー・紅茶ともに適量摂取で肺癌リスクが低下するという関連

論文では、共変量未調整の粗モデル、年齢と性別を調整したモデル、および年齢、性別以外にも人種、身体活動、教育歴、就労状況、喫煙、飲酒、BMI、タウンゼント剥奪指数、心血管疾患および肺癌以外の癌の既往を調整したモデルの解析結果が示されている。ここではすべての共変量を調整したモデルの結果を紹介する。

なお、コーヒーと紅茶のいずれも、それらを飲む習慣がない群を基準として、Cox比例ハザード回帰で肺癌罹患リスクが示されている。

コーヒーを1日に0.5~3杯で有意にリスク低下、4杯以上では非有意

コーヒーについては、1日に0.5~1杯飲む群がハザード比(HR)0.72(95%CI;0.64~0.81)、1日に2~3杯飲む群がHR0.77(0.69~0.86)と、それぞれ有意な肺癌罹患リスクの低下が認められた。ただし1日に4杯以上飲む群ではHR1.03(0.92~1.15)であり、コーヒーを飲む習慣がない群と肺癌リスクに有意差がなかった。

制限付き三次スプライン解析からは、肺癌罹患リスクが最も低下するコーヒー摂取量は1日1~2杯であり、1日5杯を超える辺りから非有意となることが示された。

喫煙歴の有無、25歳未満/以上で有意な交互作用

サブグループ解析からは、喫煙歴の有無で有意な交互作用が認められた(p<0.001)。例えば、1日4杯以上飲む喫煙歴なし群は全体解析と同様に対照群(コーヒーを飲む習慣がない群)とのリスク差が非有意だったが、1日4杯以上飲む喫煙歴あり群はHR1.26(1.11~1.42)と有意にハイリスクだった。

また、25未満/以上でも有意な交互作用が観察され(p=0.008)、25歳未満では摂取量にかかわらずコーヒーによる保護作用が認められなかった。

そのほかに検討した、性別、65歳未満/以上でのサブグループ解析からは、有意な交互作用は示されなかった。

感度分析の結果も主解析と同様

感度分析として、追跡開始2年以内の肺癌診断を除外した解析、およびベースラインでの肺癌以外の癌罹患者を除外した解析が行われ、ほぼ主解析と同様の結果が確認された。

紅茶は1日8杯までなら有意にリスク低下

紅茶については、前記の摂取量カテゴリーに基づく検討では、紅茶を飲む習慣がない群に比較していずれの群も有意なリスク低下が観察された。具体的には、1日に0.5~1杯飲む群はHR0.80(0.70~0.93)、1日に2~3杯飲む群はHR0.67(0.60~0.76)だった。

ただし、制限付き三次スプライン解析からは、肺癌罹患リスクが最も低下する紅茶の摂取量は1日2~4杯であり、1日8杯を超える辺りから非有意となり、さらに10杯に近付くあたりからは有意にハイリスクになる可能性が示された。

性別と喫煙歴の有無で有意な交互作用

サブグループ解析からは、性別による有意な交互作用が認められた(p<0.001)。男性は全体解析と同様の結果だったが、女性は摂取量にかかわらずすべての群で保護作用が認められなかった。

喫煙歴の有無に関しても有意な交互作用が認められた(p=0.036)。ただしコーヒーの摂取量で認められた交互作用と異なり、喫煙歴あり群において紅茶の摂取量にかかわらず有意なリスク抑制が認められ、喫煙歴なし群では紅茶の摂取量にかかわらず関連が非有意だった。

そのほかに、65歳未満/以上、25歳未満/以上でのサブグループ解析からは、有意な交互作用は示されなかった。

感度分析の一部で主解析と異なる結果

感度分析として、追跡開始2年以内の肺癌診断を除外した解析、およびベースラインでの肺癌以外の癌罹患者を除外した解析が行われた。前述のように、コーヒーについてはこの感度分析の結果も主解析とほぼ同様であったのとは対照的に、紅茶については後者の解析(ベースラインでの肺癌以外の癌罹患者を除外した解析)において、摂取量にかかわらず肺癌罹患リスクとの関連が非有意となった。

論文の結論は、「英国の集団において、コーヒーまたは紅茶の摂取量と肺癌罹患との間に有意な非線形の関係が認められ、J字型のパターンを示した。しかしながら、ベースラインの癌罹患者を除外した感度分析では紅茶の摂取量との関連性が減弱したことから、これらの結果は慎重に解釈する必要がある。また、異なる民族集団においてこれらの知見の妥当性を検証し、その根底にある生物学的メカニズムを解明するために、さらなる研究が必要」と総括されている。

文献情報

原題のタイトルは、「Association of coffee and tea consumption with the risk of lung cancer: a prospective cohort study from the UK Biobank」。〔Front Nutr. 2026 Jan 21:12:1724041〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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