週1回以上の運動等の実施率は全体で52.0%、障害者は32.5% スポーツ庁が2件の調査結果を発表
スポーツ庁は令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を発表した。20歳以上での週1回以上のスポーツ実施率は52.0%だった。また同庁は「障害児・者のスポーツライフ調査」の結果も発表した。障害者の週1回以上のスポーツ実施率は20歳以上で32.5%、7~19歳で34.4%だった。二つの調査結果のポイントをあわせて紹介する。
令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」
第3期スポーツ基本計画では、「成人の週1回以上のスポーツ実施率が70%になること、成人の年1回以上のスポーツ実施率が100%に近づくこと」、「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上実施し、1年以上継続している運動習慣者の割合の増加」を目指すとの目標を掲げている。スポーツ庁はこの達成に向け、スポーツの実施に関し、性別、年齢、障害の有無等にかかわらず広く一般に向けた普及啓発や環境整備を行っている。
「スポーツの実施状況等に関する世論調査」は、昭和54年度から概ね3年ごとに実施してきた「体力・スポーツに関する世論調査」(平成27年度のみ「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」)を踏襲するもの。調査方法に関しては、平成28年度より調査員による個別面接聴取(標本数3,000人)からwebアンケート調査(令和3年度までは2万人、令和4年度からは4万人を対象)に変更している。
スポーツ実施率について
- 20歳以上の週1日以上の運動・スポーツ実施率(以下「スポーツ実施率」)は、52.0%(前年度から0.3ポイント減)。
- 男女別では、男性が54.7%(前年度から0.3ポイント増)、女性が49.4%(前年度から0.8ポイント減)となっており、引き続き男性より女性の実施率が低い。年代別では、20~50代の働く世代で引き続き低い傾向となっている。
- 週1日以上のスポーツ実施率は、20~50代の働く世代で男女差が拡がっており、男性では前年度を上回ったのに対し(50代は前年度と同じ)、女性は前年度を下回った。
- 20歳以上の年1日以上のスポーツ実施率は、76.2%(前年度から1.3ポイント減)。
- 1日30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上実施し、1年以上継続している運動習慣者の割合は、20歳以上で27.3%(前年度から0.1ポイント増)。
- 過去に一度でも障害者スポーツを体験したことがある割合は、7.1%(前年度から1.2ポイント増)。
図1 スポーツ実施率の年次推移
実施状況の変化の要因
- 運動・スポーツを週1日以上行った理由としては、「健康のため」が78.7%と最も多く、「体力増進・維持のため」が55.1%、「運動不足を感じるから」が43.4%と続いている。
- 運動・スポーツの実施頻度が増えた理由としては、「仕事が忙しくなくなったから」が19.7%(前年度から0.3ポイント増)と最も多い。また、「新型コロナウイルス感染防止対策によるスポーツの価値(必要性)への気づきがあったから」(14.3%)、「テレワーク等により時間に余裕ができた」(5.9%)は、前年度に比べてそれぞれ2.6ポイント減、1.3ポイント減となった。
- 運動・スポーツの実施頻度が減ったあるいは増やせない理由としては、「仕事や家事が忙しいから」が37.2%(前年度から3.8ポイント減)と最も多く、「面倒くさいから」が27.4%(前年度から2.0ポイント減)と続いている。
- 「現在運動・スポーツはしておらず今後もするつもりはない」と答えた無関心層の割合は17.6%(前年度から1.0ポイント増)。
「する」「みる」「ささえる」スポーツについて
- この1年間でスポーツを「する」「みる」「ささえる」のいずれかに参画した者の割合(スポーツに参画した割合)は、87.8%(男性89.9%、女性85.7%)。
- 「する・みる・ささえる」すべてに参画した者(8.6%)は、日常生活の充実感を感じている割合が高く(86.3%)、幸福感も比較的高い(7.7点/10点満点)。
- スポーツを直接現地で観戦した割合は、25.9%(前年度から2.6ポイント増)となっており、高いほうから「プロ野球」、「Jリーグ」、「高校野球」となっている。
- スポーツをテレビやインターネットで観戦した割合は、68.1%(前年度から4.7ポイント減)となっており、高いほうから「プロ野球」、「高校野球」、「サッカー日本代表」となっている。
- 運動・スポーツをささえる活動に参加した割合は、9.9%(前年度と同じ)となっており、高いほうから「運動・スポーツの指導」、「大会・イベントの運営や世話」、「自身やお子様が所属するスポーツ団体やクラブでの補助的な活動」となっている。
図2 スポーツ参画状況(する・みる・ささえる)の割合(全体:18〜79歳)
令和5年度「障害児・者のスポーツライフに関する調査研究」
第3期スポーツ基本計画において、「障害者の週1回以上のスポーツ実施率を40%程度(若年層は50%程度)、障害者の年1回以上のスポーツ実施率を70%程度(若年層は80%程度)とすることを目指す」との目標を掲げている。
令和5年度「障害児・者のスポーツライフに関する調査研究」は、令和5年12月に、インターネット調査会社が保有するリサーチモニターのうち、障害児・者本人あるいは同居する家族で障害児・者がいる、障害児がいるの場合は7歳以上である、に該当する者を対象に実施。回答者数は、都道府県の人口比率に近い回答数となるように収集し、総数は6,510人だった。
障害者の運動・スポーツの実施率について
- 20歳以上の運動・スポーツ(学校の授業等を除く)の実施率は、週1回以上では32.5%(前年度から1.6ポイント増)、年1回以上では57.1%(前年度から3.0ポイント増)、週3回以上では18.1%(前年度から1.2ポイント増)と増加していた。
- 7~19歳の運動・スポーツの実施率は、週1回以上では34.4%(前年度から0.9ポイント減)、年1回以上では64.0%(前年度と同数)、とほぼ横ばいで大きな変化はなく、週3回以上では19.1%(前年度から3.0ポイント増)と増加していた。
- 障害種別の週1回以上の運動・スポーツ実施率は、20歳以上では、全体の実施率の傾向と乖離なく、どの障害種も、前年度と比べて、増加またはほぼ横ばいであった。
- 過去1年間に運動・スポーツを実施した人が行った種目は、前年度と同様に全体で「ウォーキング」「散歩(ぶらぶら歩き)」の割合が高い。20歳以上では次いで「階段昇降」、7~19歳では「なわとび」「水泳」の割合が高かった。
- 障害のない人と運動・スポーツを経験したことがある割合は全体の17.1%であった。一緒に運動・スポーツを行った障害のない人については、「家族(45.8%)」「友人(44.2%)」の割合が高かった。
図3 運動・スポーツの実施率の年次推移
図4 障害の種別にみた週に1日以上のスポーツ等の実施率
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図5 過去1年間に行った運動・スポーツ(回答の多かったもの)
運動・スポーツに対する関心、運動・スポーツを行うにあたっての障壁
- 運動・スポーツを実施するうえでの障壁について、「障壁はなく、十分に活動できている」と回答した者の割合は17.4%で、前年度から8.4ポイント増加した。
- 運動・スポーツを実施するうえでの障壁は、「体力がない(31.9%)」、「体調に不安がある(23.8%)」、「金銭的な余裕がない(16.5%)」の順となっていた。
- 現在の運動・スポーツへの取り組みについて、非実施者は、「特に運動・スポーツに関心はない(72.0%)」の割合が最も高く、次いで「運動・スポーツを行いたいと思うができない(26.0%)」であった。経年で比較すると、非実施者の「特に運動・スポーツに関心はない」割合が令和4年度の78.1%から72.0%と6.1ポイント減少しており、無関心層の減少がみられた。
きっかけ、やってよかったこと、やらない理由、運動・スポーツがもたらすもの
- 運動・スポーツを行うきっかけは、「特に理由はない・なんとなく」(42.0%)を除くと、「医師に奨められた」(24.9%)「家族に奨められた」(21.4%)の順に割合が高くなっていた。
- 運動・スポーツ実施者が運動・スポーツをやってよかったことの上位は、「ストレスが解消される」(34.7%)、「体力・身体的機能が向上した」(26.1%)、「外出が増えた」(24.4%)、「体を動かすこと自体が楽しい」(23.0%)、「行動範囲が拡大した」(20.1%)と、前年度から大きな変動はみられなかった。
- 運動・スポーツ非実施者が運動・スポーツをしない理由は、「特に理由はない」(24.0%)を除き、「運動・スポーツが嫌いである」(33.4%)、「運動・スポーツに興味が無い」(23.0%)、「疲れるから」(21.6%)の順であった。
- 運動・スポーツが何をもたらすと考えるかについては、「健康・体力の保持増進」(58.7%)が最も高く、「精神的な充足感」(33.8%)、「人と人との交流」(24.3%)、「リラックス、癒し、爽快感」(21.3%)と、生活の豊かさにつながる回答が上位を占めた。
関連情報
令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を公表します(スポーツ庁)
令和5年度「障害児・者のスポーツライフに関する調査研究」の調査結果について(スポーツ庁)