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食事を抜くと寿命が縮まる!米国国民健康栄養調査の縦断解析 1日1食では心血管死が83%UP

米国国民健康栄養調査の参加者を追跡するという縦断研究の結果、食事を抜く習慣のある人は死亡リスクが高いことが明らかになった。朝食を抜く人は心血管死リスクが40%高く、昼食を抜く人や夕食を抜く人は全死亡リスクが12~16%高いという。また、1日3食食べている人では、隣接する2回の食事の間隔が4.5時間以下の場合に、全死亡リスクが17%高いことなどもわかった。米国の栄養と食事のアカデミー(旧:米国栄養士会)発行の「Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics」に論文が掲載された。

朝食の欠食が過敏性腸症候群の有病率と相関 中国の女子看護大学生での横断的研究

朝食や、朝食以外の食事を食べないことの死亡リスクへの影響を調査

欠食による健康への影響は、主に朝食欠食について多くの研究がなされている一方で、昼食や夕食の欠食の影響に関する知見はわずかしかない。朝食は、朝の忙しさのためにスキップされることがあり、さまざまな悪影響が報告されてきている。ただし近年、時間制限食のメリットが喧伝されるようになり、多忙とは別の理由、より具体的には「健康になるため」に、朝食以外の食事を意図的にスキップする人も増えている。いわゆる断続的断食、または時間制限食などと呼ばれる食事パターンだ。

しかし、時間制限食の評価はまだ定まっているとは言えず、肯定的な結果を報告しているものも、体重や体組成または心血管代謝マーカーでの評価にとどまり、「死亡」というハードエンドポイントでの評価はなされていない。このような状況を背景として、この論文の著者らは、米国の国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey;NHANES)と、死亡統計(National Death Index)というナショナルデータを用いて、3食いずれかを欠食する習慣に伴う死亡リスクへの影響を縦断的に解析した。

18万5,398人年の追跡調査で、全死亡と心血管死リスクへの影響を解析

解析対象は、1999~2014年の米国国民健康栄養調査(NHANES)の参加者のうち、40歳以上の計2万4,011人。NHANESでは、24時間思い出し法で食習慣が把握されている。

13名のうち1名は日程が合わずに参加を辞退し、別の1名は研究とは無関係の健康上の問題のために脱落。2条件の介入を終了したのは11名(31.0±1.7歳、女性6名、BMI24.0±0.6)だった。

1日の食事の回数は3回が最多で56.7%、次いで2回が26.3%、4回以上が12.3%、1回が4.7%だった。1日3食を食べていない群は、ほかの群より若年で教育歴が短く、収入が低い傾向にあった。また、喫煙者率が高く、アルコールや間食菓子の摂取頻度が高かった。そのほか、年齢、BMI、摂取エネルギー量などにも、以下のような有意差が認められた。

1日1食群、2食群、3食群、4食群の順に、年齢は、53.1歳、55.8歳、57.5歳、55.7歳、BMIは28.9、29.5、29.0、28.5、摂取エネルギー量(kcal/日)は1,732、1,945、2,090、2,229、間食の頻度(回/日)は2.8、2.4、2.1、2.0。

死亡統計から、2015年末までの18万5,398人年の追跡で、878人の心血管死を含む4,175人の死亡が確認された。

欠食および食事間隔が短いことが死亡リスクに関連

欠食と死亡リスクとの関連の検討に際しては、年齢、性別、人種/民族を調整するモデル1、モデル1に加えて教育歴、収入、喫煙・飲酒・身体活動習慣、摂取エネルギー量、健康的な食事指数(Healthy Eating Index;HEI)、食糧不安、間食の頻度を調整するモデル2、モデル2に加えてBMI、糖尿病・高血圧・脂質異常症・心血管疾患・がんの既往を調整するモデル3という3通りで解析が行われた。

食事頻度と死亡リスクの関連:1日1食で心血管死リスクは83%上昇

まず、1日の食事回数と死亡リスクの関連をみると、1日3食の群を基準として、1日食の群では、すべての交絡因子を調整したモデル3でも、全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクが30%有意に高いことがわかった(HR1.30〈95%CI;1.03~1.64〉)。また、心血管死のリスクは83%も高いことがわかった(HR1.83〈同1.26~2.65〉)。

1日2食の群は、モデル1では全死亡と心血管死の有意なリスク上昇が認められたが、モデル2や3では非有意となった。1日4食の群は、モデル3でも有意なリスク上昇は認められなかった。

朝・昼・夕の欠食と死亡リスクの関連

次に、朝食、昼食、夕食のいずれかを抜くという習慣と死亡リスクの関連をまとめる。なお、これ以降はすべて、全交絡因子を調整したモデル3での解析結果のみを記す。

朝食欠食で心血管死リスクが40%上昇

朝食を欠食する人は食べる人よりも、心血管死のリスクが40%高かった(HR1.40〈1.09~1.78〉)。全死亡については有意なリスク上昇は認められなかった。

昼食欠食で全死亡リスクが12%上昇

昼食を欠食する人は食べる人よりも、全死亡のリスクが12%高かった(HR1.12〈1.01~1.24〉)。心血管死については有意なリスク上昇は認められなかった。

夕食欠食で全死亡リスクが16%上昇

夕食を欠食する人は食べる人よりも、全死亡のリスクが16%高かった(HR1.16〈1.02~1.32〉)。心血管死については有意なリスク上昇は認められなかった。

食事の間隔と死亡リスクの関連

続いて、1日3食たべている人を対象に、隣接する2回の食事の間隔と死亡リスクとの関連を検討。 食事の間隔が4.6~5.5時間の群(1日3食の人の42.3%)を基準とすると、4.5時間以下の群(1日3食の人の24.0%)では、モデル3で全死亡リスクが17%高かった(HR1.17〈1.04~1.32〉)。心血管死については有意なリスク上昇は認められなかった。食事の間隔が5.5時間を上回る群(1日3食の人の33.7%)は、有意なリスク上昇はみられなかった。

著者らは、「1日3回以上の食事をとり、食事の間隔は4.5時間以上おくことが重要と考えられる」としている。なお、欠食による死亡リスクへの影響の一部には、摂食障害によるリスク上昇も関与している可能性があるのではないかとの考察も加えられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Meal Skipping and Shorter Meal Intervals Are Associated with Increased Risk of All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality among US Adults」。〔J Acad Nutr Diet. 2022 Aug 11;S2212-2672(22)00874-7〕
原文はこちら(Elsevier)

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