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18歳以上の女性チームスポーツアスリートにおけるカフェインの急性効果 メタ解析のエビデンス

女性のチームスポーツアスリートを対象にカフェイン摂取の急性効果を検証した研究のメタ解析が報告された。試合をシミュレートして評価したパフォーマンスや競技固有のスキルなどに、カフェインによる有意なエルゴジェニック効果が認められたという。

18歳以上の女性チームスポーツアスリートにおけるカフェインの急性効果 メタ解析のエビデンス

女性のチームスポーツアスリートにも、カフェインは有用か?

スポーツパフォーマンスに対するカフェインの効果に関しては、主として個人競技アスリートを対象とする研究からエビデンスが確立している。それらのエビデンスを基に現在、試合の1時間前に3~6mg/kgのカフェイン摂取が推奨されることが多い。それに対してチームスポーツアスリートでの研究は少ないながらも、それらの研究を対象としたメタ解析も実施され、カフェインの有用性が確認されている。

ただし、それらの研究の大半は男性のチームスポーツアスリートを対象とした検討であり、女性のチームスポーツアスリートでの研究となると報告数がより限られ、これまでのところ女性チームスポーツアスリート対象研究のみでのメタ解析は行われていなかった。

本論文の著者らは、これを背景として、成人の女性チームスポーツアスリートのカフェイン摂取の急性効果に関するシステマティックレビューとメタ解析を行い、定性的・定量的評価を試みた。

システマティックレビューの方法

本研究は、システマティックレビューとメタ解析に関する優先報告項目(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analyses;PRISMA)に準拠して実施された。システマティックレビューには、Pubmed/Medline、SPORT Discus、Scopusが用いられ、2021年9月1日までに公開された論文を対象とした。この手法は、2019年に報告された、主に男性チームアスリートを対象とする既報研究(Res Sports Med. Apr-Jun 2019;27(2):238-256)と同様の手法。

選択基準は、18歳以上の成人女性チームスポーツの身体能力に対するカフェイン単独(他のサプリメントと併用でない)の急性効果を評価した、無作為化かつ盲検化がされているプラセボ対照試験であり、英語またはスペイン語で執筆された研究。研究対象に男性が含まれている場合は女性のみのデータを抽出し、女性のみのデータが論文中にない場合は論文著者に連絡をとり入手した。なお、カフェイン摂取量が1mg/kg未満または9mg/kg超の研究や、パフォーマンスを代替指標(例えば酸化ストレスマーカーなど)のみで評価している研究は除外した。

検索により588件の研究がヒットし、その参考文献から4件が追加。スクリーニングにより54件に絞り込まれ、それらは全文が精査された。最終的に18件が選択基準を満たす研究として抽出された。

抽出された18件の研究について

18件のうち15件は品質が高いと判定され、3件も良好と判定された。またバイアスについては、14件はそのリスクが低いと判定され、4件は何らかのバイアスの懸念が認められた。報告地はスペインが6件、米国、ニュージーランド、台湾が各2件、オーストラリア、イラン、コスタリカ、セルビア、トルコ、シンガポールが各1件だった。

18件の研究の参加者の合計は240人で、平均年齢は18~26歳。競技種目はバスケットボールが50人、バレーボール40人、サッカー37人、ラグビー32人、ハンドボール15人で、その他はソフトボール、アイスホッケー、ネットボールなど。

カフェイン摂取量は、9件が1.3~6mg/kgのカプセルであり、他の研究はエナジードリンク、パワーバー、粉末、あるいはコーヒーとして摂取されていた。カフェイン摂取のタイミングは大半の研究がパフォーマンステストの60分前としており、その他、30分前や70分前、直前およびテスト中とした研究も存在した。

メタ解析の結果

メタ解析により、評価されているパフォーマンス指標ごとの標準化平均差(standardized mean differences;SMD)が検討された。

試合をシミュレートして評価したパフォーマンス

バレーボール、バスケットボール、ハンドボール、ラグビーという4つの研究で、試合中のパフォーマンスへの影響が評価されていた。4件中2件はカフェインの有意な効果を報告し、他の2件は非有意と報告していた。

メタ解析の結果、SMDは0.488(95%CI;0.050~0.927)であり、カフェインの有用性が確認された。

競技固有のスキル

バレーボールにおけるジャンプスパイクの速度、ハンドボールでのゴールキーパーの反応など、6件の研究が競技固有のスキルへの影響を評価していた。6件中2件はカフェインの有意な効果を報告し、他の4件は非有意と報告していた。

メタ解析の結果、SMDは0.384(95%CI;0.077~0.691)であり、カフェインの有用性が確認された。

ジャンプパフォーマンス

ジャンプパフォーマンスは、カウンタームーブメントジャンプとスクワットジャンプに分けて解析された。

カウンタームーブメントジャンプ

カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスを評価した研究が5件存在した。5件中1件はカフェインの有意な効果を報告し、他の4件は非有意と報告していた。メタ解析の結果、SMDは0.208(95%CI;0.079~0.338)であり、カフェインの有用性が確認された。

スクワットジャンプ

スクワットジャンプのパフォーマンスを評価した研究が3件存在した。3件すべてが、カフェインの効果を非有意と報告していた。メタ解析の結果もSMDは0.241(95%CI;-0.189~0.671)であり、カフェインの有用性は認められなかった。

握力

握力を評価した研究が3件存在した。3件中2件はカフェインの有意な効果を報告し、他の1件は非有意と報告していた。

メタ解析の結果、SMDは0.395(95%CI;0.126~0.665)であり、カフェインの有用性が確認された。

敏捷性、シングルおよび反復スプリント、RPEには有意な効果を認めない

上記のほか、敏捷性性、シングルスプリント、反復スプリント、自覚的運動強度(Rate of Perceived Exertion;RPE)などへのカフェインの急性効果が検討されていた。それらの研究報告のメタ解析の結果は、いずれもカフェイン摂取の有意な効果を示していなかった。

カフェインは女性チームスポーツアスリートにも有用だが、より多くの研究を

以上一連の結果から著者らは本研究を、「カフェイン摂取は女性チームスポーツアスリートに対し、スポーツパフォーマンスを左右する複数の評価指標に加えて、試合をシミュレートしての評価においても、急性効果を及ぼし得る」と結論づけている。ただし一方で、「女性チームスポーツアスリートを対象とする、より多くの研究が必要である」とも述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Does Acute Caffeine Supplementation Improve Physical Performance in Female Team-Sport Athletes? Evidence from a Systematic Review and Meta-Analysis」。〔Nutrients. 2021 Oct 19;13(10):3663〕
原文はこちら(MDPI)

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