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ロイシンの筋タンパク合成刺激作用の効果を文献レビューで精査 影響する因子は?

必須アミノ酸のロイシンによる筋タンパク質合成(MPS)刺激作用に関するシステマティックレビュー論文が発表された。英国キングス・カレッジ・ロンドンの研究者らの報告。結論として、ロイシンのMPS刺激作用は支持されるが、そのエビデンスは高齢者対象に運動と組み合わせて行った研究からのものが多いという。

ロイシンの筋タンパク合成刺激作用の効果を文献レビューで精査 影響する因子は?

「ロイシントリガー仮説」の文献的検証

筋肉量を増やすには、運動による筋肉への負荷とタンパク質の摂取が欠かせない。タンパク質の中でも必須アミノ酸が重要であり、さらに必須アミノ酸の中でもロイシンが重要とされる。ロイシンには、筋タンパク質の合成(muscle protein synthesis;MPS)を刺激する作用があるためだ。ただ、血中のロイシン濃度とMPSには相関がないとする研究報告もみられる。

このような背景から、今回発表された研究では、ロイシンのMPS刺激作用を「ロイシントリガー仮説」とし、その確からしさをシステマティックレビューで検証している。著者らはこの研究にあたり、ロイシントリガー仮説が支持されるか否かは、研究対象の年齢、摂取タイミング(安静時か運動後か)、タンパク質の組成(食品としての摂取か分離されたタンパク質か)という違いに依存すると仮定した。

文献検索により29件の研究を抽出

システマティックレビューは、PRISMA(システマティックレビューとメタ解析のための優先報告事項。preferred reporting items for systematic reviews)に則して行われた。

PubMed、Scopus、Cochrane、Google Scholarが用いられ、最終検索は2021年2月1日に行われた。適格基準は、健常者を対象としたランダム化比較試験、非ランダム化試験、および2つ以上の異なるタンパク源の経口摂取によるMPSへの影響を検討した、英語で執筆された原著論文。レビュー論文、および、MPSに影響が生じる可能性のある対象者(代謝性疾患・遺伝的な健康上の支障、タンパク質の同化/異化を変動しうる薬剤の服用者など)を含む研究報告は除外した。

検索により1,683報がヒット。2名の研究者がスクリーニングを行い、最終的に29件の研究を解析対象とした。

抽出された研究の全体的な傾向

抽出された研究の対象者は、代謝性疾患がなく、薬剤が処方されておらず、過度の飲酒をしていない非喫煙者であり、BMIは30未満であって、すべて健康状態は良好だった。解析にあたっては、研究対象者が60歳以上の場合を高齢者と定義した。

29件中18件は男性のみを対象とし、5件は女性のみが対象、男性と女性を対象とした研究は6件だった。

安静時摂取の影響を検討したもののうち10件は高齢者対象(男性のみが8件、女性のみが2件)で、2件は若年成人(男性のみ1件、男性・女性両方が1件)を対象としていた。一方、運動後の摂取の影響を検討したものは、若年成人を対象とした研究が8件であり、6件はトレーニングを受けているグループを対象としていた。高齢者で運動後の摂取の影響を調べていたのは11件だった。

研究によっては摂取タイミングや用いたタンパク源が複数にわたる。29件中18件は運動との組み合わせ、11件は安静時、2件は双方で評価していた。タンパク源は16件がホエイ、14件がカゼイン、4件が大豆、2件は小麦、1件はコラーゲンで、これらは分離されたタンパク質であり、一方、タンパク質食品としては牛乳などが10件の研究で用いられていた。

研究デザインは、14件は二重盲検試験、4件は単盲検試験、11件は非盲検試験であり、2件はクロスオーバー法を用い、16件は並行試験だった。

ロイシントリガー仮説は支持される

29件の研究のうち16件は、ロイシンのMPS刺激作用、つまりロイシントリガー仮説を十分に支持する結果を報告していた。

とくに高齢者を対象として摂取タイミングを運動後としていた11件の研究では、そのうちの8件がロイシントリガー仮説を支持していた。一方、高齢者を対象として摂取タイミングを安静時に設定していた10件の研究では、ロイシントリガー仮説を支持する研究は5件だった。

若年成人を対象として摂取タイミングを運動後としていた8件の研究で、ロイシントリガー仮説を支持する研究は2件だった。若年成人を対象として摂取タイミングを安静時に設定していた研究は2件のみであり、そのうちの1件がロイシントリガー仮説を支持していた。

これらより著者らは、「ロイシントリガー仮説は支持されるが、高齢者の運動後の摂取の影響を検討した研究からのエビデンスが多い」としている。仮説を支持する研究が高齢者対象の研究に偏っている理由としては、高齢者はMPSを刺激するのに必要とされるタンパク質を食事のみからでは得られていないことが多いため、追加摂取の影響が大きく表れる可能性を考察として述べている。

また、タンパク源がタンパク質食品か、それとも分離されたタンパク質のほうが優れているのかという点については、解析対象となった研究報告が少なく、新たな見解を得ることはできないものの、分離されたタンパク質のほうがより適切という考え方が支持されるとしている。ただし、ロイシンの血中濃度とMPS作用が相関しないといった、ロイシントリガー仮説を支持しない研究報告もあることから、ロイシン以外にも食品マトリクス全体の中の非タンパク質成分がMPS調節に関与している可能性もあるして、この点のさらなる研究の必要性を指摘している。

文献情報

原題のタイトルは、「Evaluating the Leucine Trigger Hypothesis to Explain the Post-prandial Regulation of Muscle Protein Synthesis in Young and Older Adults: A Systematic Review」。〔Front Nutr. 2021 Jul 8;8:685165〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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