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ビタミンDサプリが学生アスリートの疲労骨折リスクを抑制 NCAAディビジョン1で検討

米国のNCAAディビジョン1に所属する学生を対象とする研究で、血清ビタミンDレベルが低いほど疲労骨折のリスクが高いという報告が、米国スポーツ医学整形外科学会の「Orthopaedic Journal of Sports Medicine」に論文掲載された。サプリメント摂取によりビタミンDレベルが上昇した場合はリスクが低下することや、屋内スポーツに参加している学生はリスクが高いことなども明らかになった。

ビタミンDサプリが学生アスリートの疲労骨折リスクを抑制 NCAAディビジョン1で検討

学生アスリート対象の前向きコホート研究

ビタミンDは骨の石灰化とカルシウムの調節にかかわり、ビタミンD低値は腸内のカルシウム吸収を低下させる。カルシウム吸収の低下は副甲状腺機能を亢進させて、破骨細胞を活性化し疲労骨折のリスクを高める。メタ解析の結果、アスリートのビタミンD低値の有病率は56%と報告されており、米海軍新兵の研究では、血清25-ヒドロキシビタミンDレベルが20ng/mL未満の女性は、40ng/mL以上の女性と比較して、疲労骨折のリスクが2倍と報告されている。

これらのデータに基づき現在、ビタミンDレベルの下限値を40ng/mLとすることが多く、これを下回っているアスリートにはサプリメント等の摂取が推奨されている。ただし、この対策が学生アスリートの疲労骨折リスクを抑制するかどうかは確認されていない。

40ng/mLの学生にはサプリを処方

この研究は、2012~2018年の全米大学体育協会(National Collegiate Athletic Association;NCAA)ディビジョン1に所属する学生アスリートを対象とする、前向きコホート研究として行われた。大学入学時のスクリーニングで、総血清25-ヒドロキシビタミンDが40ng/mL未満の学生は、チームの医師の診察を受けるように指示され、ビタミンDサプリメントが処方された。サプリの用量は、ビタミンDレベルが20ng/mLの場合は50,000IU/週を8週間、20~39ng/mLの場合は30,000IU/週を8週間。8週間後に再検査を行い、ビタミンDレベルが上昇していない場合や疲労骨折が生じている場合は、処方が継続された。

ビタミンD低値であってもサプリ摂取で改善した場合は骨折リスクが抑制される

研究の解析対象は、少なくとも4カ月以上の競技歴があり、研究参加に同意した802名(男性497名、女性305名)。ベースライン時のビタミンDレベルは、男性37.5ng/mL、女性43.5ng/mLだった。

屋内競技参加者はビタミンDレベルが低い

参加しているスポーツが屋内競技か屋外競技かでビタミンDレベルを比較すると、男性アスリートでは屋外競技参加者のほうが5.7ng/mL(95%CI;0.9~10.5ng/mL)有意に高かった(p=0.01)。女性アスリートも屋外競技参加者のほうが3.7ng/mL高かった(95%CI;-0.6~8.0)が有意でなかった。

サプリ摂取後の反応により疲労骨折リスクに有意差

次に、サプリの摂取によりビタミンDレベルが40ng/mL以上に改善したアスリートと、改善しなかったアスリートを比較すると、改善しなかったアスリートは疲労骨折のリスクが12%(95%CI;6~19%)有意に高かった(p<0.001)。

また、ベースライン時点で40ng/mL以上であり、その後も40ng/mL以上を維持していたアスリートに比べて、ベースライン時点で40ng/mL未満だったアスリートは、同じく12%(95%CI;5~18%)ハイリスクだった(p<0.001)。

なお、ベースライン時に低値であってサプリ摂取により40ng/mL以上に改善したアスリートと、ベースラインから40ng/mL以上のレベルを維持していたアスリートでは、疲労骨折のリスク差は有意でなかった。

骨損傷を含む解析でも同様の結果

疲労骨折に至ったケースのみでなく、ストレス性の骨損傷等も含めた解析でも、同様の結果が得られた。

具体的には、40ng/mL以上に改善しなかったアスリートは、改善したアスリートに比較し、ストレス反応の発生リスクが19%(95%CI;10~27%)有意に高かった(p<0.001)。また、ベースライン時から40ng/mL以上に維持されていたアスリートとの比較でも、19%(95%CI;10~28%)有意にハイリスクだった(p<0.001)。

より大規模な前向き研究を

以上一連の結果をもとに、著者らは、「血清ビタミンDレベルが正常であったアスリート、または血清ビタミンDレベルが低値から正常範囲に改善したアスリートは、疲労骨折の発生率が有意に低かった。これは、血清ビタミンDレベルに対する介入が、アスリートの疲労骨折のリスクを減らす可能性があることを示唆している」と結論づけている。

ただしその一方で、単一の大学の学生での調査であること、および、ビタミンDの変動の追跡期間が短期間であることなどの研究上の限界点を挙げ、「アスリートの骨の健康を向上するための適切なビタミンDレベルを決定するために、より大規模な前向き研究が必要」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Association of Serum Vitamin D Levels and Stress Fractures in Collegiate Athletes」。〔Orthop J Sports Med. 2020 Dec 9;8(12):2325967120966967〕
原文はこちら(American Orthopaedic Society for Sports Medicine)

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