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夜間絶食後の有酸素運動による自律神経への影響 中高年者では摂食状態と変わらず

夜間絶食後の有酸素運動による自律神経への影響 中高年者では摂食状態と変わらず

定期的な運動、エネルギー摂取制限、喫煙、睡眠の乱れなどによって自律神経系に影響が現れる。自律神経バランスを評価する指標として心拍変動や血圧の変化といったパラメータが用いられる。

これまでに、食事での脂肪摂取量の減少が副交感神経を活性化し血圧を下げることや、月経中の女性で12時間の絶食が心拍変動や血圧に影響することなどが報告されている。これらから、摂食状態でなく絶食状態で有酸素運動を行うことによって、自律神経バランスへの影響が強化され、脂肪酸酸化がより亢進する可能性も考えられる。

本研究では、平均59.0±9.1歳の健康な中高年ボランティア12名を対象に行われた。12名中男性が5名で、残り7名は閉経後女性だった。また平均BMIは27.5±3.0だった。

被験者にはまず6分間歩行試験(6分間にできるだけ長い距離を歩くテスト)を施行し運動耐容能を評価。その1週間後に、夜間12時間の絶食状態、または、通常の朝食(パン、バター、オレンジジュース)を摂食後、トレッドミル負荷試験を施行した。初めに絶食状態で試験を受けた者はその2日後に摂食状態での試験を受け、同様に、初めに摂食状態で試験を受けた者は2日後に絶食状態で受けた。試験開始12時間前からカフェインの摂取を禁止され、5分前からは座位で安静を保った。

トレッドミル負荷試験は、6分間歩行試験で測定された平均歩行速度80%に相当する負荷とし、低~中程度の運動強度で施行された。試験開始5分前から15分間の試験中、および試験終了7分後にわたり、心拍数と血圧を計測した。

結果は以下のとおり。心拍数変動パラメータは摂食状態と絶食状態で有意な変化がみられなかった。拡張期血圧は絶食状態のトレッドミル負荷前ベースライン時に上昇を示したが、臨床的に有意な変化ではなかった。よって、12時間の夜間絶食は健康な成人の自律神経調節能に有意な改善を及ぼさないと判断された。

既報には、ラマダン期間中の絶食による心拍変動へ影響が生じることなど、複数の研究がある。それらの報告に対して今回の研究は被験者の年齢が比較的高齢であることが、結果の相違をもたらした可能性があると著者らは考察している。加齢は迷走神経反射の感受性を低下させることが別の研究で示されているという。また本研究の限界として、飲水量が管理されていなかったことと、被験者のコンプライアンスが十分確保されていなかったことを挙げている。

文 献

原題のタイトルは、「Fed and fasted states on heart rate variability, hemodynamic heart rate and blood pressure in adults submitted to moderate aerobic exercise」。〔Int J Cardiol Heart Vasc. 2019 May 16;23〕

原文はこちら(Elsevier)

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