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運動誘発性アディポカイン 地中海食とファストフードでの検討

脂肪細胞からはさまざまな生理活性物質が分泌されており、それらは「アディポカイン(またはアディポサイトカイン)」と総称されている。代表的なアディポカインとして、糖の取り込み促進や、脂肪燃焼、インスリン感受性改善、抗動脈硬化、抗炎症などの作用をもつ「アディポネクチン」が挙げられ、これは"善玉"とされる。一方、インスリン感受性を低下させる「レジスチン」、血栓をできやすくする「PAI-1」などは"悪玉"と呼ばれる。

これらアディポカインは、食事や運動習慣への長期的な介入によりそのプロファイルが変化することは知られているが、単一回の食事・運動への介入の影響は明らかになっていない。しかし、高強度インターバルトレーニングが中等度の持続的運動より心血管アウトカムを改善するとの報告も近年散見される。一方で、伝統的な地中海食は心血管疾患を抑制し死亡リスクを低下することが知られている。

本論文の著者らは、地中海食またはそれと同エネルギー量のファストフード摂取3時間後に、トレッドミルで疲弊するまで運動強度を強めていく多段階漸増運動負荷試験を施行し、即時アディポカイン分泌への影響を検討した。対象は全身性疾患に罹患していない46名(女性26名、平均25歳、BMI23.6)で、これを無作為に2群に分け、地中海食またはファストフード摂取後に運動負荷試験を実施。7日のウオッシュアウト期間をおいて、クロスオーバーさせ再度、運動負荷試験を実施した。解析対象は試験脱落者を除く39名。

結果をみると、地中海食、ファストフードともに、アディポネクチンは摂食あるいは運動負荷による有意な変化がみられなかった。その一方で、PAI-1、レジスチン、リポカインは、摂食による変化はなかったものの、運動負荷により血中レベルが上昇した。ただしこれらについては、地中海食とファストフードとでの群間差はなかった。

それに対し、アディプシンは摂食により有意に低下し、運動負荷により上昇するという変化を示した。さらに運動負荷後のアディプシンの上昇幅は、地中海食においてファストフードより有意に大きかった(p=0.043)。

結果として、単一回の食事・運動への介入がアディポカインの動態に関与し、アディプシンに関しては食事の栄養組成がそれに影響する可能性が示された。なお、アディプシンは免疫や炎症に関与するアディポカインとして知られている。

原題のタイトルは「What is the effect of a Mediterranean compared with a Fast Food meal on the exercise induced adipokine changes? A randomized cross-over clinical trial」。〔PLoS One. 2019 Apr 18;14(4):e0215475〕

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PLoS One

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