スポーツ用栄養サポート食品のGI値に着目 パフォーマンスの回復に差異
摂取後の血糖上昇速度を表すグリセミックインデックス(GI)が低い炭水化物食品は、エネルギーを持続的に供給できることから持久系スポーツに適していると考えられる。またインスリン分泌を過度に刺激しないために、脂肪分解への影響が少なく筋グリコーゲンを節約するように働く可能性もある。
本研究では、一般的なスポーツ栄養バーと、レンズ豆を用いた低GIの栄養バー、およびプラセボにより、サイクリング中の代謝とパフォーマンスがどのように変化するかを検討。対象は男性8名、女性3名(年齢26±6歳、身長178 ± 3 cm、体重72.9 ± 4.0 kg、 VO2peak 51.4 ± 1.6 mL/kg/分)。
栄養バーまたはプラセボを摂取し1時間後に、65%VO2peakで75分間のサイクリングに引き続き7kmのタイムトライアルを実施した。これはオリンピック競技のトライアスロンにおいてサイクリストが通常カバーする距離をシミュレートして設定したもの。また、回復状況を評価するため、この試験の24時間後に再度7kmのタイムトライアルを施行した。
通常の栄養バーと低GI栄養バー、およびプラセボで、それぞれ炭水化物1.5g/kgに相当する量を摂取させた。そのエネルギー量(kcal)は同順に、830、756、910。GI値は、47、56、58。3種の摂食条件の試験は最低1週間の間隔をあけて実施され、さらに女性では月経周期を考慮し1カ月間隔で施行した。また被験者および研究者は、試験前に何を摂取したかについて盲検化されていた。
結果をみると、1回目のタイムトライアルは栄養バー(通常タイプと低GI)を摂取時、プラセボ摂取時に比して有意に短縮され、良好な成績が記録された。ただし、栄養バーの違いによる群間差は有意でなかった。それぞれの成績は、通常栄養バー摂取時が583±59秒、低GI栄養バーが574±55秒、プラセボ619±81秒。
一方、回復状況を評価する翌日のタイムトライアルでは、低GI栄養バーを摂取していた時、通常栄養バーまたはプラセボに比して有意に良好な成績が記録された。それぞれの成績は、低GI栄養バー547±42秒、通常栄養バー569±42秒、プラセボ566±42秒。
また、通常栄養バー摂取時の乳酸値は他の2群に比して有意に高かった。血糖値についてはプラセボ摂取群が他の2群に比し有意に低かった。
原題のタイトルは「The Glycemic Index of Sport Nutrition Bars Affects Performance and Metabolism During Cycling and Next-Day Recovery」。〔J Hum Kinet. 2019 Mar 27;66:69-79〕