プロとアマチュア、食事の質と体組成に明確な差 栄養士による指導の有無が影響か
プロアスリートとアマチュアアスリートを比較すると、体組成が有意に異なり、また、アスリートのための食事ガイドラインの遵守状況を表す指標(ADI)にも有意差が認められるとする研究結果が報告された。プロアスリートは除脂肪量が多くて脂肪量は少なく、ADIは高値だという。イランからの報告。
プロとアマチュアの体組成や食事の比較は、これまであまり行われていなかった
バランスの良い食事と好ましい体組成が、健康およびスポーツパフォーマンスや回復に重要であることを示すエビデンスが蓄積され、そのエビデンスに基づき、ハイレベルのアスリートにはスポーツ栄養士やコーチ、医師などの指導により個別化された食事計画が提供されることが多い。それに対してアマチュアアスリートは食事を自己管理していることが多いことから、両者の間に食事の質や体組成に差が生じている可能性がある。しかし、本論文の著者は、両者の食事の質や体組成を同時に比較した研究はほとんどないとしている。
これを背景としてこの研究では、テヘランのプロおよびアマチュアのさまざまな競技アスリートを対象とする横断比較研究を行い、両者の差の有無を検討した。なお、本研究におけるプロアスリートとは、競技会参加のためコーチの指導の下で週に10時間以上トレーニングを行っているアスリートと定義されており、これを満たしていない場合はアマチュアと判定されている。また、競技会参加を目指していないレクリエーションアスリートや、年齢が18~40歳の範囲外および疾患を有するアスリートは対象から除外されている。
プロアスリートは食事・栄養素の摂取状況が良好で、筋肉が多く体脂肪が少ない
事前の統計学的検討から、このトピックの検証に必要なサンプルサイズは106人と計算され、183人(プロ99人、アマチュア84人)のアスリートを解析対象とした。
プロはアマチュアよりスポーツサプリ利用率が高い
まず、この両群の特徴を比較すると、平均年齢(プロ24.8歳、アマチュア24.9歳)、性別(男性の割合が同順に55.6%、47.9%)、教育歴、就業状況に有意差はなかった。また、国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire;IPAQ)により評価した身体活動量にも有意差はなかった。
一方、競技レベルは、国内・国際大会レベルがプロは31.3%、アマチュアは13.1%であり、有意差が認められた(p=0.01)。一般的な栄養補助食品(dietary supplement)の利用率には有意差がなかったが(59.6 vs 50.0%、p=0.192)、スポーツサプリの利用率はプロのほうが有意に高値だった(40.4 vs 25.0%、p=0.028)。
プロはアマチュアより除脂肪量が多く脂肪量が少ない
次に、生体電気インピーダンス法で測定した体組成をみると、プロアスリートはアマチュアに比べて除脂肪量が多く脂肪量が少ないという有意差が認められた。BMIは有意差がなかった。詳細は以下のとおり。
除脂肪体重率はプロが80.8±6.8%、アマチュアは78.0±9.6%(p=0.023)。体脂肪率は同順に16.2±7.1%、18.8±9.9%(p=0.019)。BMIは23.0±13.2、23.3±13.4(p=0.240〈標準偏差が大きいが論文のまま〉)。
プロはアスリートのための食事ガイドを遵守している(ADIが高い)
食事の評価には、シドニー大学のスポーツ栄養の専門家がアスリートの食事の質を評価するために開発した、検証済みの食事評価ツール(Athlete Diet Index;ADI)が用いられた。
このADIは、三つのサブドメインで構成されていて、合計スコアは125点。このうち80点で、果物、野菜、穀物、乳製品、肉など、コアとなる食品・栄養素の摂取頻度と適切さを評価する。このほかに35点は、鉄やカルシウムなどの特定の微量栄養素の摂取を評価し、残りの10点で食事のタイミングや頻度、料理のスキル、水分補給などの食習慣を評価する。125点満点で90点以上はスポーツ栄養の推奨を満たすゴールド、66〜89点は改善の余地があるシルバー、65点以下は潜在的な栄養リスクのある状態を示すブロンズと判定する。
本研究において、プロはアマチュアより合計スコアが有意に高かった(88.6±17.6 vs 73.5±22.5、p<0.001)。また、プロは判定区分のゴールドが最多で、次いでシルバーであり、ブロンズは最も少なかったが、アマチュアはシルバーが最多で次いでブロンズであり、ゴールドは最も少なかった(p<0.001)。
ADIのサブドメインを比較すると、コア栄養素(59.7±15.7 vs 54.4±23.9、p=0.015)と、特定の微量栄養素(20.1±4.8 vs 16.8±5.5、p<0.001)において有意差があり、いずれもプロのほうが高値だった。食習慣については有意差がなかった(5.6±2.2 vs 5.2±2.3、p=0.089)。
ADIと体組成との関連を解析した結果、プロとアマチュアとで、有意な交互作用が認められ(交互作用p=0.047)、プロにおいてはADIが高いほど体脂肪率が低かった。除脂肪体重率とADIの関連については、交互作用および主効果ともに有意でなかった。
栄養戦略の重要性を示唆
論文の結論は、「プロアスリートとアマチュアアスリートの比較で、体組成と食事の質の双方に有意な差があることが明らかになった。この知見は、競技レベルにかかわらず、アスリートの健康とパフォーマンスを最適化することを目的とした、コーチや栄養士による的を絞った介入に役立つものと言える」と総括。また、「とくに専門的な食事指導を受けられないことのあるアマチュアアスリートに対する、個別化された栄養戦略の重要性が示された」と付け加えられている。
文献情報
原題のタイトルは、「Comparison of athlete diet index and body composition between professional and non-professional athletes: a comparative cross-sectional study」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2025 Dec;22(1):2533497.〕
原文はこちら(Informa UK)