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遺伝子検査は行動変容につながる? 変化した人の3割がサプリメントを調整

米国の一般住民の遺伝子検査の認識、利用率、利用後の行動の変化を調査した結果が報告された。検査を受けたことがあると回答したのは28.7%で、そのうち検査結果に基づき行動を変えた人は16.3%に過ぎないものの、その全員が生活習慣を変更し、32.9%はサプリメントの使用方法を変更したという。

遺伝子検査は行動変容につながる? 変化した人の3割がサプリメントを調整

自分の遺伝的背景を知り、疾患を予防する時代が間近に

2003年にヒトゲノム計画が完了し「ゲノム時代」が幕開けして以降、遺伝子検査は目覚ましい進歩を遂げてきている。当初は極めて高額なコストを要していたものの、近年では個人での利用も可能になってきた。個人が自身の疾患リスクを認識することで、生活習慣を改善したり、健診や人間ドックなどの受診を増やしたりするなどの対策が可能となる。しかし、これまでのところ、遺伝子検査に関して、その認知度などは調査されてきているが、検査を受けた後に行動変容が起きたか否かはあまり調査されていない。

これを背景に、この論文の著者らは、米国立がん研究所(National Cancer Institute;NCI)の「健康情報動向調査(Health Information National Trends Survey;HINTS)」のデータの二次解析による検討を行った。HINTSはNCIが18歳以上の米国の一般住民を対象に毎年行っている横断調査であり、本研究では2022年のデータが用いられた。

遺伝子検査の認知度は81.6%、受検率は28.7%、受検後の行動変容は16.3%

解析対象は4,631人で、女性59.6%、年齢は50~64歳が最多で29.5%、次いで35~49歳が21.6%、65~74歳が21.0%、既婚者46.6%、就労者率55.6%、学士号取得者29.3%だった。この研究では、(1)遺伝子検査の認知度、(2)遺伝子検査を受けたことのある割合、(3)遺伝子検査を受けた後の行動変容――という3点に焦点を当てた解析が行われた。

(1)遺伝子検査の認知度

以下の遺伝子検査について「聞いたことがあるか?」と質問し、「祖先検査(家族の起源を知る検査)」、「個人特性検査(個人の特性を知る検査)」、「特定の疾患検査(乳がん、大腸がん、糖尿病などの遺伝的リスクの高さを知る検査)」、「出生前遺伝子検査(胎児の遺伝性疾患のリスクを知る検査)」などを示して調査された。

その結果、いずれかを聞いたことがある割合が81.6%であった。認知度を個別にみると、先祖検査は74.8%、特定の疾患検査が58.3%、出生前検査が40.4%、個人特性検査が27.2%だった。

遺伝子検査に関する情報源として最も多かったのはインターネットの62.5%であり、次いで旧来型メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)が60.4%、家族や友人が52.8%、医療従事者やカウンセラーが33.6%だった。

(2)遺伝子検査を受けたことのある割合

遺伝子検査を受けたことがあると回答したのは1,327人(28.7%)であり、50.0%は受けていないと回答。他の約20%は不明等だった。受けたことのある遺伝子検査として最も多いのは祖先検査(57.2%)であり、2位以降は特定の疾患検査(42.0%)、出生前検査(23.6%)、個人特性検査(17.6%)と続いた。

遺伝子検査を受けた理由として最も多かったのは、家族歴の把握が43.9%であり、次いで医師の勧めが34.7%、疾患リスクの把握が28.9%、出生前の理由(出生前に自身の意思によらず実施された)が20.2%、家族の捜索が17.1%、個人特性の把握が14.9%、検査の機会をプレゼントとして受け取ったが9.9%などだった。

(3)遺伝子検査を受けた後の行動変容

遺伝子検査を受けたと回答した1,327人のうち、検査結果に基づいて行動を変えたと回答したのはわずか216人(16.3%)だった。その216人において最も多く報告された変化は生活習慣の変更で、全員(100%)が何らかの生活習慣を変更していた。その他の変化の中では、サプリメントの摂取開始・変更(32.9%)が最多であり、健康診断の頻度の増加(25%)、薬剤の変更(18%)などが続いた。

一方、特定の疾患の遺伝子検査を受けた人では、検査後の行動変容が多く認められ、77.3%が変化を報告していた。このグループでは、やはり生活習慣の変更が最多(100%)であり、次いでサプリメントの摂取開始・方法の変更(35.3%)、健康診断の頻度の増加(26.3%)、薬剤の変更(18.6%)と続いた。

疾患関連遺伝子検査に対する行動変容の予測因子

二項ロジスティック回帰分析により、遺伝子検査を受けた後に行動変容を起こすことの関連因子として、年齢が24歳以上、大学教育を受けていることなどが特定された。

特定の疾患の遺伝子検査を受けたグループにおいては、医師の勧めによる検査、遺伝性疾患の発症リスクの認識、健康管理方法の習得意欲などが、行動変容に関連していた。一方、家族歴の検査や遺伝子検査をプレゼントとして贈られて受けることは、行動変容と負の関連が認められた。

著者らは、「遺伝子検査の認知度と検査を開ける人は増加してきているが、検査結果に基づいて行動変容を起こした人は少ない。これらの調査結果は、遺伝子リテラシーの向上を目的とした介入の重要性を強調するものと言える」と総括している。

文献情報

原題のタイトルは、「Awareness of genetic testing and its impact on changing behavior among general population of U.S – Health Information National Trends Survey (HINTS 2022)」。〔Lifestyle Genom. 2025 Jul 14:1-17〕
原文はこちら(S. Karger)

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