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カフェインガムの上半身パフォーマンスへの有効性は限定的? 女性レクリエーションアスリートでの検討

カフェイン入りガムの上半身のパフォーマンスへの影響を、女性のレクリエーションアスリートで検討した結果が報告されている。それによると、カフェインの用量によらず有意なプラスの影響は認められず、唯一、落ち着きのなさだけが、高用量条件で有意に亢進したという。米国の研究者らの報告。

カフェインガムの上半身パフォーマンスへの有効性は限定的? 女性レクリエーションアスリートでの検討

カフェインのエビデンスは男性、かつ下半身のパフォーマンスの研究結果が中心

カフェインにエルゴジェニック作用があることは広く知られていて、実際、多くのアスリートが利用している。ただし、本論文の著者によると、カフェインに関する研究の大半は男性を対象に実施されてきており、最近のある研究では、カフェイン研究の被験者のうち女性が占める割合は13%に過ぎないとの報告があるという。また、カフェインの効果は個人差が大きいことも知られている。さらに、メタ解析からは、カフェインの効果は下半身の筋肉の評価により大きな影響を及ぼし、上半身の筋肉への影響は小さいことが示されている。

一方、カフェインの負の側面として、覚醒レベルが高まることの影響と考えられる、落ち着きのなさが引き起こされることが挙げられる。これは競技によってはパフォーマンスを下げるように働く可能性がある。また、有効性の個人差が大きいように、有害事象のリスクも個人差があると考えられ、女性の場合、月経周期によって影響の大きさが変化し、血圧変動や否定的な感情の発露などが生じることがあるとされている。

ただし、下半身に比べて上半身への効果が確実に弱いのか、また、そのメカニズムは何か、女性はカフェインの影響を受けやすいのか、または逆に受けにくいのかといったことについては不明点が多く、上述の内容も推察の域を出ていない。これを背景として著者らは、女性の上半身のパフォーマンスに対する、高用量と低用量のカフェインの影響、および、習慣的にカフェインを摂取している場合とそうでない場合とでの差異について検討した。

16人の女性レクリエーションアスリートで検討

この研究には、16人の女性レクリエーションアスリートが参加した。1回45分以上のトレーニングを週に3回以上行っており、年齢は21±2.8歳、身長1.66±0.06m、体重63.9±11.2kg、体脂肪率25.5±6.0%で、VO2peakは21.8±2.9mL/kg/分。過去にカフェインガムを利用した経験のある人は含まれていなかった。

試験デザインは無作為化クロスオーバー法で、低用量(100mg)カフェインガム、高用量(300mg)カフェインガム、およびプラセボガムの3条件で、アームクランクエルゴメーターを用いたパフォーマンス試験を全員に試行。各条件の試行の48時間前からは激しい運動を禁止し、24時間前からは最初の試行の際の記録を基に、同じ食事をとるように指示。当日は水分のみを摂取可としたうえで、4時間の絶食後に試行した。試行の時間帯は3条件で一致させた。ただし、月経周期は考慮しなかった。

パフォーマンス試験は、アームクランクエルゴメーターで50%VO2peakの強度で2分間を5セット、10分間の休息の後、70%VO2peakの強度で2分間を5セット試行し、ペダルの回転数(ケイデンス)と自覚的運動強度(rating of perceived exertion;RPE)、心拍数、VO2を評価した。また、10段階のリッカートスコアにより、倦怠感、気分、緊張感、落ち着きのなさ、振戦、苦痛の主観的な評価を得た。

カフェインガムまたはプラセボガムは試行の15分前に咀嚼開始。ガムの味、香り、色は区別がつかないように調整した。ただし、事後アンケートからは、被験者の56%が苦みによってカフェインガムとプラセボガムを正確に区別できていたことがわかった。

なお、高用量条件の300mgという用量は体重換算すると4.8±0.7mg/kgであり、これはアスリートが試合前に摂取する用量とほぼ同等だった。

女性の上半身のパフォーマンスに対しては、カフェインの有効性が認められない

では結果だが、カフェイン摂取条件とプラセボ条件の2条件で比較した場合、50%VO2peakと70%VO2peakで各5回の試行時のペダル回転数、自覚的運動強度(RPE)、心拍数、VO2に、有意差のみられたポイント・項目はなかった。つまり、パフォーマンスに対してはカフェインガムの有効性が認められなかった。

その一方で、リッカートスコアによる主観的評価の結果のうち、落ち着きのなさに関しては、カフェイン条件が3.5±1.9点、プラセボ条件が2.2±2.3点であり、カフェイン条件のほうが有意に高かった(p=0.03)。倦怠感、気分、緊張感、振戦、苦痛の評価スコアには有意差がなかった。

これらの結果に、習慣的なカフェイン摂取の影響は認められなかった。

カフェインの用量の比較では、VO2に有意差

次に、カフェイン条件を高用量と低用量で比較すると、50%VO2peakでは前記の解析結果と同様に、5回の試行時のペダル回転数、RPE、心拍数、VO2に、有意差のみられたポイント・項目はなかった。

一方、70%VO2peakでは、ペダル回転数、RPE、心拍数に関しては有意差のみられたポイントはなかったが、VO2については5回の試行のうち1~3回目に、有意に近い条件間の差が認められた。詳しくは、3回目の試行時の高用量条件のVO2はΔ16.6±14.2mL/kg/分であるのに対して、低用量条件ではΔ-1.0±18.2mL/kg/分であり、高用量条件のほうが高値だった(p=0.05)。1回目と2回目もp値は<0.08ながら、高用量条件のVO2のほうが高かった。

女性に対するカフェインのメリットについては、より多くの研究が必要

著者らは本研究の結果について、「カフェインガムは女性のアームクランクエルゴメーターのケイデンスに何らメリットを示さず、落ち着きのなさのレベルが上昇しパフォーマンスを低下させる可能性がある」と総括。ただし、「この研究は、これまで蓄積されてきたカフェインに関するエビデンスへの反論ではなく、女性でのカフェインの研究の不足を補うものであり、かつ、女性アスリートに対して自信をもってカフェイン摂取を推奨する前に、さらに多くの研究が必要であることを示すものだ」と付言している。

文献情報

原題のタイトルは、「Caffeinated Gum Does Not Influence RPE-Regulated Cadence in Recreationally-Active College Females Regardless of Habitual Caffeine Consumption」。〔Int J Exerc Sci. 2021 Dec 1;14(2):1375-1387〕
原文はこちら(PubMed)

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