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エネルギー制限下での高蛋白食による体組成への影響は、女性と男性で異なる

摂取エネルギーを制限しながら蛋白摂取量を増やした場合、男性アスリートでは除脂肪体重の減少が抑制されるとのエビデンスがある。一方、女性アスリートでは、結果はやや異なるのかもしれない。その可能性を示唆する研究結果が報告された。

エネルギー制限下での高蛋白食による体組成への影響は、女性と男性で異なる

筋肉量を維持しながら体重を落とす際の低エネルギー高蛋白戦略

パフォーマンスの向上のために減量を行うアスリートは少なくない。とくに体重別階級のある競技種目や審美系スポーツのアスリートでその傾向が強い。減量の手段として、消費エネルギー量を維持または増加させながら、摂取エネルギー量を減らすことが行われる。しかしその場合、減量とともに除脂肪体重(lean body mass;LBM)、主として筋肉量も減少してしまう。

そこで減量を行いながら筋肉量を維持するために、蛋白質の摂取エネルギー比率を高く設定することがある。この戦略は、男性アスリートでは有効であることを示す一定のエビデンスが存在する。しかし女性アスリートでも同様の効果を期待できるか否かは明らかになっていない。

研究対象と試験デザイン

この論文の著者らは、女性アスリートも男性アスリートと同様に、蛋白質エネルギー比を高く設定した減量戦略で、除脂肪体重の減少が抑制されると仮説を立て、以下の検討を行った。

対象は女性アスリート18名

研究の参加基準は、週3回以上のトレーニングを行っている18~35歳の女性アスリートで、体脂肪率15~30%の範囲内にあり、月経周期が安定していること。ふだんの蛋白質エネルギー比がサプリメントも含めて20%を超える者は除外された。

最終的に、サッカー、ボート、ムエタイ、陸上などのアスリート18名が参加した。年齢は21.2±3.3歳、身長171.5±6.8cm、体重67.2±10.0kg、体脂肪率27.2±5.3%、トレーニング時間9.9±2.8時/週。

参加者にはまず3日間にわたる食事記録を作成してもらい、トレーニング量などを参考に各人のふだんの摂取エネルギー量を計算。そのエネルギー量で、炭水化物48%、脂質33%、蛋白質19%の食事を1週間にわたって提供。参加者は、水の自由な摂取を除いて、提供されたもの以外の飲食物の摂取が禁止された。

ふだんの60%の摂取エネルギー量で2週間

次に全体を、高蛋白食群、対照群各9名ずつの2群に分け、2週間にわたり以下の介入を行った。

対照群は、炭水化物50%、脂質35%、蛋白質15%、高蛋白群は炭水化物50%、脂質15%、蛋白質35%とし、提供する食事と水以外の飲食物の摂取を禁止した。

蛋白質摂取量は、対照群では介入前が101±25g/日(1.56±0.55g/kg/日)、介入中が56±9g/日(0.86±0.23g/kg/日)、高蛋白食群は同順に108±25g/日(1.65±0.41g/kg/日)、112±18g/日(1.71±0.31g/kg/日)であり、介入前は有意差がなく、介入中は高蛋白食群が有意に多かった(p<0.01)。介入により、蛋白質摂取量は対照群が45%減少、高蛋白食群は4%増加したことになる。

脂質摂取量については、介入前は有意差がなく、介入後は対照群51±13g/日(0.77±0.26g/kg/日)、高蛋白食群は24±5g/日(0.38±0.09g/kg/日)で、高蛋白食群が有意に少なかった(p<0.01)。

運動パフォーマンスも評価

介入前の標準的な食事を提供している期間から介入期間も含めて、トレーニングは定められたスケジュールにそって行ってもらった。

介入前後に、ウィンゲートテスト、20mスプリントとYo-Yoテスト、等速性筋力測定により、運動パフォーマンスを評価した。

介入による変化の比較

体重・体組成の変化に群間差なし

ふだんの60%の摂取エネルギー量とした2週間の介入の前後で体重は、対照群-1.0±1.1kg(p=0.026)、高蛋白食群-1.1±0.7kg(p=0.002)と、いずれも有意に減少した。ただし、群間差は有意でなかった。また、体組成に関しても、脂肪量、除脂肪体重などの群間差は、以下に記すように有意差がなかった(すべてp>0.05)。

脂肪量は、対照群-0.7±0.6kg(p=0.005)、高蛋白食群-0.9±0.4kg(p<0.001)で、いずれも有意に減少していたが、群間差はp=0.451で有意差がなかった。

さらに除脂肪体重に関しては、対照群-0.3±1.1kg(-0.74%,p=0.563)、高蛋白食群-0.1±0.7kg(-0.23%,p=0.627)で、いずれも介入による有意な変化がみられなかった。

なお、対照群に除脂肪体重が6.6%減少した被験者が1名存在した。この1名のデータが群間差に影響を及ぼす可能性を考慮し、これを外れ値として除外し解析したが、群間差が非有意であるという結果は変わらなかった。

また、運動パフォーマンステストの結果は、介入前後および食事条件間の群間差について、すべて非有意だった。

より長期間の介入による検証が必要

まとめると、トレーニングを行っている女性アスリートで、2週間という短期間の摂取エネルギー制限は、蛋白質エネルギー比率にかかわらず、除脂肪体重と運動パフォーマンスを変化させずに総体重を減少させた。つまり、蛋白質摂取量の高低の違いは確認されなかった。

この結果について著者らは、「トレーニングを行っている男性アスリートを対象に行われた研究報告とは異なる結果だ」とし、介入期間をより長期に設定した縦断研究の必要性、および、女性の減量中の蛋白質摂取量の推奨値は摂取エネルギー量に対する比ではなく、体重をもとに設定する必要があると述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「A hypoenergetic diet with decreased protein intake does not reduce lean body mass in trained females」。〔Eur J Appl Physiol. 2020 Dec 1〕
原文はこちら(Springer Nature)

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