エナジードリンクと歯の浸食に関連の可能性 スポーツドリンクでは結果が一致せず
エナジードリンクやスポーツドリンクに含まれている糖や酸性物質は、歯の健康状態に影響を及ぼすのではないかとする懸念がある。この疑問をシステマティックレビューで検討した結果が報告された。著者らは、エビデンスは決定的なものではなく、より質の高い研究が求められるとしている。

エナジードリンクやスポーツドリンクは口腔衛生に良くない?
エナジードリンクやスポーツドリンクと呼ばれる2種類の飲料は、近年、アスリートに限らず一般消費者も、仕事などにおけるパフォーマンス向上を期待して広く利用している。ただし米国食品医薬品局(FDA)の分類上、エナジードリンクとスポーツドリンクの違いは示されていない。これらの用語はメーカーのマーケティング戦略として利用されてきている。
一般的な理解としては、これら両者はいずれも身体活動を助けることを目的とし、電解質、ビタミンB群、糖または人工甘味料などの成分を含んでいる。違いとしては、エナジードリンクには、スポーツドリンクに含まれることが少ない刺激物質、とくにカフェインが含まれていることが多いと言える。スポーツドリンクが、スポーツで失われる水分や電解質、エネルギー基質の補給を目的としているのに対して、エナジードリンクは精神的な覚醒度を高めて疲労感を抑制することを重視した飲料カテゴリーと位置づけることが可能。
これら両者に含まれる糖は健康上の懸念材料として目されることがあり、例えば口腔内細菌の発酵の供給源となって、齲蝕のリスクを高めるのではないかと指摘されている。また、含有されている酸性成分は歯の表面を浸食し、齲蝕とは別の経路で負担となり得るともされている。
しかし、本論文の著者によると、エナジードリンクやスポーツドリンクの摂取と口腔衛生との関連についてシステマティックレビューは少なく、唾液のpHとの関連なども含めたレビューはさらに限られているという。このギャップを埋めるため、包括的なレビューが行われた。
3件の文献データベースから10報を抽出し、ナラティブシンセシス
文献検索は、システマティックレビューとメタ解析のための優先レポート項目(PRISMA)ガイドラインに準拠して、PubMed、Web of Science、Embaseという三つの文献データベースを用いて行われた。それぞれの開始から2024年末までに収載された報告から、本テーマに関する英語で執筆された論文を検索。永久歯のない6歳未満を対象とした研究は除外した。
一次検索で1,196報がヒットし、重複削除後の662報を2名の研究者がタイトルと要約に基づくスクリーニングにより27報へ絞り込み、全文精査により10件の研究報告を適格と判断した。なお、採否の意見の不一致は3人目の研究者を加えた討議により解決した。
10件の研究のうち6件はエナジードリンクまたはスポーツドリンクと歯の浸食との関連を調査し、2件は齲蝕との関連、他の2件は唾液の性状との関連を調査していた。研究デザインは8件が横断研究で、無作為化比較試験と非無作為化比較試験が各1件であり、研究参加者は合計5,805人だった。
各研究の評価指標等が多様であることからメタ解析は行うことができず、ナラティブシンセシスが行われた。
歯の浸食との関連
スポーツドリンク
4件の研究がスポーツドリンクの摂取と歯の浸食との関連を報告していた。異なる指標を用いて浸食の有病率を報告しており、研究間の一貫性が認められなかった。
1件は有意な関連を報告し、2件は否定、別の1件は特定の年齢層(15~29歳、30~39歳、40~49歳、60~69歳)で有意な関連があるが、他の年齢層(50~59歳、70~89歳)は関連が非有意としていた。
エナジードリンク
4件の研究がエナジードリンクの摂取と歯の浸食との関連を報告していた。評価方法に違いはあるものの、結果は概ね一貫していた。
4研究のすべてにおいて、エナジードリンクの摂取群または大量摂取群は、非摂取群または少量摂取群と比較して、歯の浸食のオッズが有意に高かった。
齲蝕との関連
スポーツドリンク
スポーツドリンクと齲蝕の有病率との関連を報告した研究は1件のみであった。スポーツドリンクを高頻度または大量に摂取している群と、低頻度または摂取量が少ない群との間で、有病率に有意差は認められなかった。
エナジードリンク
2件の研究がエナジードリンクの摂取と齲蝕との関連を報告していた。これら2件の結果は矛盾しており、1件は有意な関連を示し、他の1件は関連が非有意と結論づけていた。
質の高い研究が必要とされている
このほか、スポーツドリンクの摂取と唾液量やpHなどの唾液パラメータとの関連を調査した研究が2件あり、研究間で一貫性がみられなかった。
これらの結果に基づき論文の結論は、「エナジードリンクの摂取が歯の浸食と関連している可能性を示唆する、限定的で質の高くないエビデンスがみられた。一方、齲蝕や唾液の性状との関連は決定的でなかった。また、歯の浸食とスポーツドリンクの摂取との関連は一貫性がなく、限られたエビデンスによって裏付けられているに過ぎない。これらの関係を明らかにするためには、より質の高い研究が必要である」。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Association Between Consumption of Energy and Sports Drinks with Oral Health: A Systematic Review」。〔Dent J (Basel). 2026 Jun 10;14(6):359〕
原文はこちら(MDPI)








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