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パラパワーリフティング選手の競技成績に「安定した睡眠時間」が関連 ブラジル代表選手での研究

パラパワーリフティング選手のパフォーマンスに影響を及ぼし得るさまざまな因子と、実際の競技成績との関連を解析した結果が報告された。ブラジルのナショナルチームの選手を対象とする研究であり、唯一の有意な関連因子として、睡眠の重要性が特定されたという。

パラパワーリフティング選手の競技成績に「安定した睡眠時間」が関連 ブラジル代表選手での研究

パラリンピック選手のパフォーマンスを規定する因子を探る

アスリートのパフォーマンスはさまざまな因子によって変化する。しかし健常アスリートに比べてパラアスリートでは、競技成績にどのような因子が影響を及ぼすのかという研究があまり行われていない。

今回取り上げる論文は、ブラジルのパラパワーリフティングアスリートに焦点を当てている。パフォーマンスやその関連因子の評価は、競技会の3カ月前から競技を行った翌日にかけて行った。

パフォーマンスの変動の評価方法

パフォーマンスの変動は、世界選手権参加時の結果と、前シーズンのベスト記録の差で評価した。つまり、その差が正の場合、そのアスリートはパフォーマンスが向上し、差が負の場合はパフォーマンスが低下したと定義した。

パフォーマンス関連因子の評価方法

パフォーマンス関連因子は、ベースライン(競技会参加の3カ月前)、競技前(会場到着時)、競技後(競技の翌日)という3時点で、以下の項目を測定した。

健康状態は、「オスロ・スポーツ外傷研究センター健康問題に関する質問票(Oslo Sports Trauma Research Center Questionnaire on Health Problems;OSTRC-H2」を用いた。OSTRC-H2はスコア範囲0~100で、スコアが高いほど健康上の負担が大きいことを意味する。

食事パターンは食品摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire;FFQ)、睡眠の質はピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)、日中の眠気はエプワース眠気尺度(Epworth sleepiness Scale;ESS)で評価し、気分や感情の状態はProfile of Mood States(POMS)に基づき、総合的な気分状態を表すTotal Mood Disturbance(TMD)というスコアで評価した。

睡眠時間が不安定なことが、試合のパフォーマンス低下と関連

横断的解析では、パフォーマンスの変動と有意な関連のある因子はなし

研究参加者は24人で、全員が同国の代表チームのメンバーだった。男性37.5%、女性62.5%で、79.2%は先天性の障害、20.8%は後天性の障害だった。睡眠時間は中央値7.75時間(四分位範囲2.0)、平均値6.0時間であり、睡眠の質(PSQI)は中央値4.0、日中の眠気(ESS)は8.5、気分の状態(TMD)は114.0、FFQは30.5で、OSTRC-H2は中央値0.0(四分位範囲18.0、最大50.0)だった。

24人のうち、16人はパフォーマンスが正に変化し、8人は負に変化していた。この2群に分けて、前記の因子を比較した場合、いずれも有意差は認められなかった。

縦断的解析では睡眠時間がパフォーマンスの変化による2群で異なる

次に、ベースラインから競技前の変化を「Δpre」、ベースラインから競技翌日の変化を「Δpost」として、縦断的な解析を行った。その結果、睡眠時間に、以下のような群間の有意差が認められた。

Δpreについては、パフォーマンスが正に変化した群では、睡眠時間が比較的安定していた(中央値0.00時間〈四分位範囲-0.75~0.75〉)のに対し、パフォーマンスが負に変化した群はわずかに増加していた(同0.25時間〈-0.75~1.25〉)。この差は統計的に有意であり、中程度の効果量(r=-0.40)であった。

Δpostについても同様のパターンが観察された。パフォーマンスが正に変化した群では、睡眠時間が安定していた(0.00時間〈-0.75~0.50〉)が、パフォーマンスが負に変化した群では、より顕著に増加していた(1.00時間〈0.44~1.56〉)。この差は統計的に有意であり、中程度から大きな効果量を示した(r=-0.46)。

睡眠時間以外の因子である、体重、食事、睡眠の質、日中の眠気などは、縦断的な解析でも有意な関連は示されなかった。

気分や感情に関しては、パフォーマンスが向上した群ではネガティブな気分が時間の経過とともに低下し、ベースラインの活力が高かった。

パラアスリートの睡眠と気分の状態のモニタリングが潜在的に有用なアプローチ

まとめると、パラパワーリフティングのナショナルチームにおけるパフォーマンスに関連する健康関連要因を検討した結果、睡眠の安定性とバランスの取れた気分状態が、競技での成功に貢献する可能性が示唆された。著者らは、「エリートパラアスリートの睡眠と気分の定期的なモニタリングが、パフォーマンスの潜在的な低下リスクを早期に特定するための実用的で、低コストなアプローチとなるのではないか」と述べている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Health and Performance in the National Para Powerlifting Team: Associations Between Injuries, Sleep Parameters, Nutritional Factors, Mood States, and Performance」。〔Int J Environ Res Public Health. 2026 Apr 3;23(4):459〕
原文はこちら(MDPI)

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