子どもたちの練習中、株式会社LEOCの公認スポーツ栄養士・関根豊子さん、国原千佳さん、みすずコーポレーションの今井真理子さんによる保護者向け栄養セミナー「スポーツをする子どもの食事と補食」を開催しました。こちらでは、講義の要点をご紹介します。
保護者の皆さんから寄せられるお悩みで多いものを上げてみました。この中の1つ、「食べすぎ・食べなさすぎ」に関しては、成長の様子で判断します。他の子どもと比較するのではなく、その子の成長の度合いを見てあげましょう。母子手帳や学校で配られる健康手帳に記載されている成長曲線に沿っていれば大丈夫です。
皆さんは、何歳くらいのときに身長が伸びたのか覚えていますか?
この図は、1年間にどのくらい身長が伸びたかという成長率(平均)を示しているグラフです。女子の場合はだいたい9歳~12歳くらい、男子の場合は12歳~14歳くらいにぐっと身長が伸びる成長率の高い時期があります。この期間のことを「成長スパート期」と呼んでいます。スパート期には、女子の場合は1年間に8cmくらい身長が伸びます。男子の場合は10cm近く伸びます。スパート期は、高校生くらいになるとだいぶ落ち着きます。
最終的にどのくらいまで身長が伸びるかは、遺伝的な要素もありますが、可能性は最大限に活かしてあげたいですよね。そのためには、このスパート期を逃さずにしっかりと成長させてあげることが大事です。
成長スパート期を見つけるのは難しくありません。定期的に子どもの身長を測定・記録しておけばよいのです。注目して欲しいのは、スパートの直前です。少し成長率が下がる時期、スパートのための「ため」の時期があるのです。なので、ピークに差し掛かりそうな時期、女子なら8歳、男子なら11歳くらいから、毎月1回、身長の計測が出来るとベストです。順調に成長していたのに、最近増え方が鈍くなったと思ったら、スパートの予兆かもしれません。そんなふうにお子さんの成長を見ていくと良いと思います。身長の計測が難しい場合には、体重でも大丈夫。男子も女子も身長が伸びれば体重も増えますから、身長の伸びと同じように傾向をつかむことが出来ます。
身長や体重を入力していくと、成長のスパートの開始時期が予測できる便利な成長曲線分析ソフト(無料)
スパート期を把握したところで有効に活かすことができなければ、健全な発育・発達にはつながりません。そのためには、発育・発達に必要な「エネルギー」が身体にあることが必要です。
ジュニアアスリートのエネルギー摂取の考え方
子どもが必要としているエネルギーは大きく分けて3つ。優先順にいうと、1つめは「生きるため、生活のためのエネルギー」。心臓や肺などを動かしたり、体温を維持したりするためのエネルギーと、家庭や学校での生活に使エネルギーのことです。
2つめは「発育・発達のためのエネルギー」。運動をしている・していないに関わらず、これら2つのエネルギーは不足することのないよう確保されなくてはいけません。
そして3つめは「運動で使うエネルギー」です。サッカーをはじめ、運動をしている子どもたちは、朝昼夕の3食と補食を摂って、このエネルギー量を確保する必要があります。
「運動をする分、食べる量を増やす」のは正しいのですが、ここで注意していただきたいのは、食べられる量には限界がある、ということです。補食を含む食事から摂ったエネルギーをまずは、生きるため・生活のためのエネルギーと成長のためのエネルギーに使い、それでも余裕がある場合は、運動をすることが出来る、と考えなくてはいけません。食の細い子ども、疲れて食べることができない子どもは、運動に使えるエネルギーが少ない状況になります。そういう子どもにたくさん運動をさせてしまうと、発育・発達のためのエネルギーが足りなくなり、成長スパート期が見られなかったり、ピークの山が低くなってしまうのです。
こういったことが無いように、成長期の子どもにどのくらい運動をさせるのかは、大人が考えてあげなければなりません。
では、成長期の子どもはどのくらい食べれば良いのでしょうか?
私たち栄養士は、まず年齢や性別、体格から計算式で出します。もちろん個人差がありますので、計算で出したエネルギー量が適量だったかは、身長・体重の変化から確認します。
計算式はこちらです。
成長期の推定エネルギー必要量(kcal/日) =
推定基礎代謝量(kcal/日) ✕ 身体活動指数 + エネルギー蓄積量
参照体重における基礎代謝量
性別 | 男性 |
女性 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢 (歳) |
基礎代謝基準値 (kcal/kg 体重/日) |
参照体重 (kg) |
基礎代謝量 (kcal/日) |
基礎代謝基準値 (kcal/kg 体重/日) |
参照体重 (kg) |
基礎代謝量 (kcal/日) |
1〜2 | 61.0 | 11.5 | 700 | 59.7 | 11.0 | 660 |
3〜5 | 54.8 | 16.5 | 900 | 52.2 | 16.1 | 840 |
6〜7 | 44.3 | 22.2 | 980 | 41.9 | 21.9 | 920 |
8〜9 | 40.8 | 28.0 | 1,140 | 38.3 | 27.4 | 1,050 |
10〜11 | 37.4 | 35.6 | 1,330 | 34.8 | 36.3 | 1,260 |
12〜14 | 31.0 | 49.0 | 1,520 | 29.6 | 47.5 | 1,410 |
15〜17 | 27.0 | 59.7 | 1,610 | 25.3 | 51.9 | 1,310 |
18〜29 | 23.7 | 64.5 | 1,530 | 22.1 | 50.3 | 1,110 |
30〜49 | 22.5 | 68.1 | 1,530 | 21.9 | 53.0 | 1,160 |
50〜64 | 21.8 | 68.0 | 1,480 | 20.7 | 53.8 | 1,110 |
65〜74 | 21.6 | 65.0 | 1,400 | 20.7 | 52.1 | 1,080 |
75以上 | 21.5 | 59.6 | 1,280 | 20.7 | 48.8 | 1,010 |
エネルギー蓄積量 = 40kcal、身体活動指数 =1.65
これによると、お父さん、お母さんの年代よりも、運動をしている10歳男子のほうが、実は食べる量が多いことがわかります。身体は小さいけれど、実は必要なエネルギー量は多いことを覚えておいてください。
アスリートの食事の揃え方
こちらの写真は大人用ですが、メニューの組み合わせの基本は一緒ですので参考にしてください。
主食となるご飯、パン、麺などがあること。 主菜として肉、魚、卵、大豆製品のおかずがあること。 副菜(野菜中心のおかず)が、写真では4つありますが、最低でも2つはあること。 あとは、果物と乳製品。
これらが揃っているのが、スポーツをしている子どもの理想の食事の整え方となります。
とはいえ、毎回。この皿数をそろえるのは大変ですよね。1つ、奥の手をお教えすると・・・主菜の一部と副菜を汁ものにしてしまう、つまり、この組み合わせの一部を超具たくさんの汁ものに置き換えてしまうのです。これは、作るほうも楽になりますが、実は、食べるほうも楽になるのです。ぜひ、やってみてください。
バランスよく食べないと、身体作りや作り変え(新陳代謝)が完璧には出来なくなるからです。これは子どもも大人も同様です。身体作りは新ビル建設、作り変えはビルの建て替えに例えられますが、例えば偏食や欠食のために栄養バランスが崩れると、身体は10階建てのビルを作りたいのに、建設のための材料や道具が足りないから、8階建てのビルしか作れないということが起きるのです。
1回くらいの欠食や偏食では大きな影響はありませんが、習慣化すると、身体の各所でマイナスが積み重なり、支障がでてきます。一生懸命トレーニングしていてもパフォーマンスが上がらないことにつながります。以上のことから、バランスの良い食事が必要なのです。
毎回、バランスの良い食事を用意するのが難しいことは、私たちも良く分かっています。もし、バランスが悪いな、と思ったら3時のおやつなどで補いましょう。これを補食と言います。
運動している人は、運動前の食事から練習までの時間が空くとき、あるいは、運動後から食事までの時間が空くときに補食を摂ることをお勧めします。動けなくなるほどの量や、次の食事が食べられないほどの量はNG。小学生までは自分で判断するのは難しいので、補食の量やタイミングは保護者の方がコントロールしてください。
糖質中心の補食でエネルギーの補給・集中力を高める
(例)おにぎり、パン、バナナ、ジュースなど
ということで、糖質、脂質、たんぱく質の全部が入っていて手軽に食べられる、いなり寿司をお勧めしています。おいなりさんの皮は大豆からつくっていてたんぱく質が含まれています。さらに揚げてありますので脂質が含まれています。そしてご飯も詰めますので糖質も摂ることができます。
北海道から沖縄まで2,200ヵ所以上の施設で食事を提供し、オフィス・工場の社員食堂、寮、学校、スポーツ施設などのB&I分野(ビジネス&インダストリー)と老人ホーム、病院、保育園、障がい者施設などのHC分野(ヘルスケア)の両マーケットで、バランス良くさまざまな施設に食事サービスを提供しています。
食事で様々のスポーツチームをサポートしているほか、Jリーグチーム「横浜FC」、フットサルチーム「エスポラーダ北海道」のスポンサー活動、また、トップアスリートをはじめ、アスリートのご家族、 スポーツ振興団体、スポーツ指導者などを対象に、スポーツ栄養に関する専門知識を教える各種セミナーも開催しています。
明治35年の創業から117年。凍り豆腐や味付けいなり揚げなどの大豆加工製品のレトルト・チルド商品製造・販売を行う長野県長野市の老舗メーカー。製造工程で出た排水処理からの副生成物で発電を行ったり、業務用肥料の原料として有効利用するなど、環境にやさしい技術を取り入れ、資源循環型生産を行っています。近年では、Inari-sushiは、“日本の元祖ファストフード”として、sushiと並び人気が広まり、欧米、アジア、アフリカなど、海外への輸出も増加中。また、毎月17日は「いなりの日」として記念日登録しており、普及活動も行っています。