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第5回 日本体育大学ウエイトリフティング部

監督インタビュー「大学スポーツの食生活事情」

2020年01月10日 公開

日本体育大学ウエイトリフティング部女子の加藤智子監督に、公認スポーツ栄養士・平川佳代子氏がお話をうかがいました。

日本体育大学ウエイトリフティング部女子の加藤智子監督

加藤 智子 監督 プロフィール

日本体育大学ウエイトリフティング部女子監督。日本体育大学、早稲田大学大学院卒。日本ウエイトリフティング協会常務理事。第1回ユースオリンピック競技大会ウエイトリフティング競技監督。早稲田大学スポーツ科学学術院講師。選手としてウエイトリフティング世界選手権大会6年連続出場。指導者としてもオリンピック選手や世界選手権日本代表選手を輩出。アジアウエイトリフティング連盟Coaching and Research Committee 委員や国際レフリーとして世界選手権大会等の審判も行っている。

平川氏 ウエイトリフティングで強くなるために、どのような身体づくりを目指していますか?

加藤監督 ウエイトリフティングは階級制のスポーツなので、限られた体重の中でどれだけ良いパフォーマンスを出せるかということと、その中でどれだけ自分の筋肉量を増やすかということが肝になります。脂肪は少なくして筋肉量を多くというのが理想的な身体と考え、そこを目指しています。

どうしても体重が軽い人は、挙げられる重量が軽くなる。体重が重ければ重いほど、全体的には重いものを挙げることができるので、できれば体重を増やして。といっても、脂肪を増やすのではなくて筋肉量を増やして、重量も上げていきたいというのが目標ですね。

日本体育大学ウエイトリフティング部女子の加藤智子監督と公認スポーツ栄養士の平川佳代子氏

平川氏 それが勝てる身体につながっていく。

加藤監督 そうですね。結局はどれだけ脂肪を減らせるか。そして筋肉量を増やせるかですね。体重が決められているので。

平川氏 階級制のスポーツということで、体重の調整が結構大変だと思います。加藤監督としてはどのくらいの期間で仕上げていくのでしょうか?

加藤監督 私の選手時代の話ですが、その頃は日本のほとんどの選手は減量して試合に出ていました。私もそれこそ5kg程度の減量をしたことがあります。でも、いまは日本のウエイトリフティング界の流れとして、減量するのではなく、体重を増やして一つ上の階級でも良いから、そこで力をつけて勝負していくことが主流になってきました。そのため、普段から自分が目指している階級に合わせて筋肉量を増やしていって、記録を伸ばし試合に出たときにどれだけ良いパフォーマンスができるかが重要になります。

昔は試合前の1週間で3kgとか減らしたりしていたのですが、今はトータル的に見て、普段の生活の中からいつでも試合に臨めるような身体をつくっていけるように心がけています。いま私が指導しているこの日本体育大学もそうですし、日本国内もそんな流れになっています。それこそナショナルの(日本代表レベルの)選手たちは、普段から体重を管理しながら戦っています。

ですから、どれだけの期間で仕上げるのではなくて、日頃の栄養、休養、練習、睡眠を上手にバランス良く生活することが大切です。日本国内はもちろんのこと、世界のウエイトリフティング界でもそういった選手が主流だと思います。

平川氏 試合の前後で体重に変動があるというよりも、練習の時から体重を保っていられるような生活を送っているのですね。

加藤監督 結局、それをできる選手が一番強いです。

練習中の選手を見つめる加藤監督

平川氏 新しく入部してきた選手は、どのように階級を選んでいくのでしょうか?

加藤監督 いまは殆どの選手が高校時代からウエイトリフティングを経験しています。どうしても1年生は環境が変わってくるので、体重が増える選手もいれば、減る選手もいます。やはり体重が減ると良いパフォーマンスができません。なので、ある程度体重を維持することが大事です。筋肉量を増やすことがカギなります。でも、うちの選手は皆、思ったより脂肪が多いんです。

平川氏 そうなんですか。高校時代からやっていたとしても脂肪が......。

加藤監督 今日は練習を見ていただきましたが、練習では重いものを挙げるための瞬発的なトレーニングが多く、脂肪を燃やす有酸素的なトレーニングは少なかったと思います。体重が増えてくると膝や腰に負担がかかるため、なかなか継続的に有酸素トレーニングを行うことができないこともあります。また、大学は決められた時間の間に練習時間を取らなければならないので、瞬発的なトレーニングと有酸素的なトレーニングを両立することがなかなか難しい面もあるんです。ナショナルレベルになってくると、練習時間を多く、バランス良く練習ができるのですが、大学の場合はなかなか難しいですね。

全体的に大学生の女子選手は脂肪が多いと思います。体脂肪率でいうとおそらく20%くらいあります。

平川氏 ここ最近ですか?

加藤監督 10年くらい前からでしょうか。それ以前は減量している選手が多かったですね。

平川氏 そこは少し気になるところですね。

加藤監督 そうですね。

平川氏 栄養管理はどなたがされているのですか?

加藤監督 男子は寮でLEOCさんにお任せしています。女子は基本的に選手に任せています。女子はほとんどの選手が日体大の寮に入っています。寮には体育会の学生しかいないので、バランス良く食事は出してくれています。私も何度か見に行きましたが、主食、主菜などを取り揃えて出してくれているので、それをきちんと食べていればそんなに問題ないと思うのですが、やっぱりお腹が空くとお菓子とか食べたりするようで......。お菓子は食べないようにという話はしているのですが、ずっと監視していることはできませんからね(笑)

平川氏 増量・減量はどのようにしていますか?

加藤監督 先ほどもお話ししたように、あえて増量したり減量したりする選手はほとんどいないので、トレーニングの中で筋肉量が増えてきた、あるいは、体重が増えてきたから一つ上の階級にしようという形をとっています。そして、だんだん選手自身が強くなってくると自覚も芽生えてきます。試合というよりも普段の生活からですね。まずは筋肉量を増やすことが大切なので。

日本体育大学ウエイトリフティング部の練習風景

平川氏 選手たちはサプリメントやプロテインなどを飲んでいるそうですが、知識はどこで得ていますか?

加藤監督 アンチ・ドーピング教育のこともあり普段から選手たちには、サプリメントやプロテインの話はしています。ただ、食事ですべての栄養を摂取するのが難しいときや食費が高くなることもあります。そんな時はサプリメントで穴埋めをしたりしているようです。男子は卒業生が一緒に練習しているのでアドバイスを受けているようです。

平川氏 卒業生がお勧めしているというプロテインが男子寮にありました。

加藤監督 女子はどうしても脂肪が増えてしまうので、脂肪を燃焼するようなサプリメントを自分で調べて、質問してきますね。女性はどうしても脂肪が落ちにくいので、そういったサプリメントを使うことがあります。

平川氏 練習前、練習中、練習後の補食や水分補給についての加藤監督の考え方を教えてください。

加藤監督 練習中は飲料が置いてあるので、各自が飲んでいます。今までは特に休憩などは取らずに練習していたのですが、最近は、練習時間が長いときには途中で少しつまめるようなビスケットやお煎餅、チョコレート、果汁100%のジュースなどをとるようにしています。どうしても練習が3時間とか4時間とか長くなると、集中力も切れてしまいますので。ただ、施設の利用時間ぎりぎりまで練習することが多くて、練習後は慌ただしくプロテインを飲んで片付けて、さあ帰ろうという感じになってしまいますね。

平川氏 体重管理は毎日されていますか

加藤監督 はい、練習前に体重は必ず測ります。体脂肪は年に2度、正確な測定する機会を設けています。BLSとBOD PODの測定をしています。

BLS(Body Line Scaner):身体形状を三次元で読み取り身体の太さや長さの測定をする形態計測
BODPOD:体の体積から体脂肪率、除脂肪体重等の測定をする身体組成計測

平川氏 日体大には測定機器が揃っていますからね(笑)

加藤監督 そうですね。他の先生方の研究にもなるので。研究室とコラボレーションしながら。特にウエイトリフティングの女子については競技人口が少ないので新しい視点で研究することが必要ですし、私も研究もしていますが、皆さん協力的です。

平川氏 インカレのような団体戦で試合をするときには、各階級に選手がいてほしいですよね。

加藤監督 そうなんです。いろいろな階級の選手がいて、上位をズラッと取ってくれるのが理想です。だから本当は背が違ったら階級を変えたいので、体重を増やすように指示をしても、「これ以上食べられません」とか、合宿などでは食事をたくさん出すのですが、「もう食べられません」という選手も多くて......。食べない選手が多いです。

日本体育大学ウエイトリフティング部女子の加藤智子監督

平川氏 食べさせてあげたいです(笑)

加藤監督 普段から食べる習慣があまりないのかなと思います。日常生活の中で肉を食べようと思うとお金もかかるし。主菜は肉や魚が良いことはわかっているのだけれど、高くて買えないので安価なもので代用する。このあたりは大学生アスリートの悩みなのではないでしょうか。

平川氏 そうですね。

加藤監督 お金と栄養のバランスを考えた結果、「とりあえずお米だけ食べておくか」という結論になるのかなと思います。

平川氏 副菜やフルーツまで気にかけることは難しいかもしれませんね。自炊も一人分だけ用意すると余計に高くついたりしますからね。

加藤監督 学生は基本的にアルバイトもしていないですから。そこはかわいそうに思います。日体大の授業は実技が多いので、特に1年生と2年生は1日実技をやって練習に来ることもあります。水泳やって、陸上やって、テニスやってから、ウエイトリフティングの練習する。昼休みも学食が混んでいて食べられないことも多く、時間がないからおにぎりを作ってくる子もいますが、それでは足りないですからね。授業の間は着替えや移動でなかなか休憩もとれません。そうなってくると体重を増やす余裕がないんですよね。ここまで身体を使うとなかなか体重も増えない。そういうところも、他大学と違うところです。

平川氏 その生活だといくら食べても消費してしまいますね。

加藤監督 いくら食べても太らないという。

平川氏 1年生が体重を増やしたいけれど全然増えなくてという話は聞いていました。

加藤監督 でも不思議なことに脂肪は多いんですよ(笑)

平川氏 年間を通してみると体重変動の傾向はありますか?

加藤監督 夏は増えないですね。体重が最も増えるのは1月後半から3月くらいで、同時に最も力もつく時期になります。ただ残念ながら冬だから脂肪も一緒に増えるのかなと(笑)

平川氏 だから有酸素運動をやりたいと。

加藤監督 でもその期間は授業も無いので、練習時間を長めにして有酸素的なトレーニングを取り入れています。本当は練習の後に肉や魚などでお腹をいっぱいにしてあげたいのですけれど、中々そこまでフォローできない。親御さんも大変だと思います。

平川氏 いなり寿司はどうでしたか

加藤監督 おいしかったです。簡単に作れますし、練習が終わった後でも爽やかな酸味もあるので気軽に食べられますし。周りが油揚げだから油のイメージが強いですけど、そんなにカロリーも高くないですし。そもそも大豆でできているものですからたんぱく質も摂れますからね。学生も喜んでいました。

平川氏 おかわりの列ができていましたね

加藤監督 おにぎりと同じような感じで食べられるのでいいですよね。練習が終わってすぐ食べるようにおにぎりやバナナを持ってくる選手もいますが、いなり寿司を加えてもいいと思いました。

平川氏 試合後の打ち上げでいなり寿司パーティでも良いですね

加藤監督 トッピングしたり、ご飯に混ぜたりすればパーティになりますね。今まであまり(いなり寿司は)選択肢になかったので知ることができて本当に良かったです。海外遠征時に「味付けおいなりさん」を持っていくのもいいですね。コスト面も安いし。大学生にとってコスト面は大事なので手軽に使えるのが良い。

平川氏 貴重なお話をありがとうございました。

日本体育大学ウエイトリフティング部女子の加藤智子監督と公認スポーツ栄養士の平川佳代子氏

大学生アスリートの食生活
—もくじ—

【セミナーレポート】皆で学ぼう!なぜ、運動後に

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学生インタビュー「食生活と身体づくり」

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監督インタビュー「大学スポーツの食生活事情」

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共催企業

株式会社LEOC

北海道から沖縄まで2,200ヵ所以上の施設で食事を提供し、オフィス・工場の社員食堂、寮、学校、スポーツ施設などのB&I分野(ビジネス&インダストリー)と老人ホーム、病院、保育園、障がい者施設などのHC分野(ヘルスケア)の両マーケットで、バランス良くさまざまな施設に食事サービスを提供しています。

食事で様々のスポーツチームをサポートしているほか、Jリーグチーム「横浜FC」、フットサルチーム「エスポラーダ北海道」のスポンサー活動、また、トップアスリートをはじめ、アスリートのご家族、 スポーツ振興団体、スポーツ指導者などを対象に、スポーツ栄養に関する専門知識を教える各種セミナーも開催しています。

株式会社みすずコーポレーション

明治35年の創業から117年。凍り豆腐や味付けいなり揚げなどの大豆加工製品のレトルト・チルド商品製造・販売を行う長野県長野市の老舗メーカー。製造工程で出た排水処理からの副生成物で発電を行ったり、業務用肥料の原料として有効利用するなど、環境にやさしい技術を取り入れ、資源循環型生産を行っています。近年では、Inari-sushiは、“日本の元祖ファストフード”として、sushiと並び人気が広まり、欧米、アジア、アフリカなど、海外への輸出も増加中。また、毎月17日は「いなりの日」として記念日登録しており、普及活動も行っています。

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