練習後、講義室に集まった男女約40名の部員の皆さんに、まずは補食いなりを召し上がってもらいました!
そして、公認スポーツ栄養士・平川佳代子氏(以下略:平川氏)の栄養セミナーがスタートします。
平川氏 いなり寿司をどんなときに食べますか?
学生さん 「おめでたいとき」「おばあちゃんの家で」「運動会で」
平川氏 皆さんに身近な食べ物ですよね。
平川氏 練習が終わってすぐのタイミングで、いなり寿司を食べてもらったのには理由があります。皆さんにちょっと考えてもらいたいのですが・・・、なぜだと思いますか?
学生さん 「練習後の栄養補給のため」
平川氏 もう答えが出てしまいましたね、、(笑)
平川氏 皆さんは先ほど練習が終わったばかりですね。練習後の身体は筋グリコーゲンが枯渇した状態にあります。この状態が続くと疲労が抜けなかったり、エネルギー源として筋肉(体たんぱく質)の分解が進んでしまいます。筋肉をつけるトレーニングをしているのにもったいないですね。こういった理由から、「練習後の速やかな栄養補給」が大切です。そのために、みなさんにはお話を始める前にいなり寿司を食べてもらいました!
練習後の補食
運動後のグリコーゲンの再補充には、糖質だけではなく、たんぱく質や脂質を組み合わせて摂る方が、効率が良いことがわかっています。
エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | カルシウム(ml) | 鉄(mg) | |
---|---|---|---|---|---|---|
いなり寿司(2個) | 213 | 6.3 | 5.5 | 33.4 | 50 | 0.8 |
おにぎり(梅1個) | 175 | 3.2 | 0.4 | 38.0 | 3 | 0.5 |
牛乳(200mL) | 134 | 6.6 | 7.6 | 9.6 | 220 | 0 |
プロテイン(25g+水) | 103 | 21.0 | 1.9 | 1.0 | — | — |
いなり寿司と他の食品の栄養価比較を行った表をご覧ください。いなり寿司は、糖質(炭水化物)、たんぱく質、脂質がバランス良く含まれていることがわかります。つまり、白米だけのおにぎりだけを食べるよりも、いなり寿司のように、たんぱく質と脂質が含まれているものを食べる方が、効率良くリカバリーできると考えられるのです。
この表のプロテインは、実際に男子部員が飲んでいるものです。このプロテインはたんぱく質が多く含まれていますが、糖質が少ないのがわかると思います。先述したように、運動後は糖質が枯渇している状態なので、プロテインだけではなく、糖質を摂るような組み合わせを考えると良いと思います。
ちなみに、IOCのコンセンサス(「アスリートのための糖質摂取に関するガイドライン」※)では、運動後4時間以内に体重あたり1~1.2gの糖質を摂ることが、リカバリーに効果的であると記載されています。例えば体重70kgの人であれば、70~84gが目安です。
※「アスリートのための糖質摂取に関するガイドライン」
Carbohydrates and fat for training and recovery.(J Sports Sci.22(1),pp15-30, 2004.)
補食は、1日3食の食事では取りきれないエネルギーや栄養素を補給する食事のことです。練習後、次の食事まで時間が空いてしまう場合や、食事から練習までの時間が空いてしまう場合などに食べる食事でもあります。ですから、補食が必要になる場面は、練習後だけでなく、練習前ということも考えられますね。
練習前の補食は、途中でエネルギー切れにならないための糖質補給が目的です。脳も糖質がないと集中力が低下します。皆さんの競技であるウエイトリフティングは、集中力がとても重要ですよね。体も脳もエネルギー切れにならないように練習前の補食も大切です。ここは、おにぎりが良いでしょう。バナナやゼリー飲料もおすすめです。食べる量については練習に影響が出ない程度にしましょう。
空腹になると、ついお菓子などでつなぎがちですが、食事として認められるものを選びましょう。
練習後の補食の量は夕食に影響が出ない程度で。以上が、スポーツにおける補食についてのお話でした。
北海道から沖縄まで2,200ヵ所以上の施設で食事を提供し、オフィス・工場の社員食堂、寮、学校、スポーツ施設などのB&I分野(ビジネス&インダストリー)と老人ホーム、病院、保育園、障がい者施設などのHC分野(ヘルスケア)の両マーケットで、バランス良くさまざまな施設に食事サービスを提供しています。
食事で様々のスポーツチームをサポートしているほか、Jリーグチーム「横浜FC」、フットサルチーム「エスポラーダ北海道」のスポンサー活動、また、トップアスリートをはじめ、アスリートのご家族、 スポーツ振興団体、スポーツ指導者などを対象に、スポーツ栄養に関する専門知識を教える各種セミナーも開催しています。
明治35年の創業から117年。凍り豆腐や味付けいなり揚げなどの大豆加工製品のレトルト・チルド商品製造・販売を行う長野県長野市の老舗メーカー。製造工程で出た排水処理からの副生成物で発電を行ったり、業務用肥料の原料として有効利用するなど、環境にやさしい技術を取り入れ、資源循環型生産を行っています。近年では、Inari-sushiは、“日本の元祖ファストフード”として、sushiと並び人気が広まり、欧米、アジア、アフリカなど、海外への輸出も増加中。また、毎月17日は「いなりの日」として記念日登録しており、普及活動も行っています。